腐った足

2011/12/**記








腐った足(店の前で撮る)

私の店の方に向かってビッコを引きながらゆっくり、ゆっくり、そろりそろりッという感じで顔をしかめながら一歩進んでは立ち止まり、又一歩進んでは立ち止まりながら、やっとの思いで歩いて来る人がいる、近くに来てビッコを引く彼女(実は女性だと分かったのはしばらく後の事で、私はこの時はまだ男だと思っていた)の足を見た時いったいどうなっているのか直ぐには理解出来なかった、それ程異様な光景であった、店の前で止めてよく見るともう左足は完全に腐っているとしか見えなかった、膿みで腫れ上がり今にも噴出しそうな状態である、指の先からくるぶしまでは見える、その全てが膿みきっている。

どこまで腐っているのかは判断できないがもっと上の方まで腐っているかも知れない。近くによると異臭がした、膿みのせいであろう、親指が無いのでどうしたのだと聞くと腐って取れてしまったと言う。

こんな状態で人間はまだ歩く事が出来る物なのだろうか?私は不思議に思って『歩いていて足は痛くないのか?』っと聞くと、前は痛くて歩けなかったが、今は慣れて歩けるようになった、でもヤッパリ痛いと言っていた。

フィリピンの福祉はこんなもの、財政的にも政策的にも全く手の施しようも無いほど酷い状態で弱者の事などほんの少しも考えていられる状況では無い、しかし強者の事に掛けては痒い所に手が届く政策をする、30年前のフィリピンを知っている私がこの30年間でいったいどこか進歩した所が有るのかが解らない程酷い状態が延々と続いていて、これからも延々と続いて行きそうだ。

水が飲みたいと言うのでついでに食べ物もあげた、
2~3日店の周りをうろついていたがその内どこかへいなくなってしまった、驚く無かれ彼女はまだ23才だと言う。
彼女の将来は有るのだろうか?