一ヶ月ほど前の事、Jさんが打ってるのを、他のプロが見て言う事は、異口同音『ハンディキャップ10〜12、まあ悪くても90は叩かないであろう』っで有る、然るに彼は90を切れない、いやっ!それどころか100近く叩いている。 Jさんも初めてティーチングを受けに来てから1年を過ぎた、当初は月平均4〜5回だったが徐々に回数が増え今では週3回の予定でティーチングしている、最初のティーチングでDさんのスウィングを見た時にはその独特のスウィングに感心したものだった。 テイクバックで体重が左に乗る、いわゆる『ギッタンバッコン』のスウィング、右手で思いっきりヒッパタキに行くためクラブは大外回り、マクリのアウトサイドイン、典型的で極端なヘッドアップ、どこから直そうかと迷う位教え甲斐のあるスウィングだった。 最初の矯正は右手主導を左手主導に直す事、しかし長年右手でブンナグッテ来たスウィングをいきなり左て主導だ、右手は使う事まかりならん!っと言った所でどうして良いか分かるはずも無い、兎に角トップからはグリップエンドを真下に引く動きに挑戦して貰った。 これは右手主導ではクラブヘッドが早く動いてしまいグリップが下に動く前にヘッドが下りてきてしまい必ずダフル結果と成る、否が応でも右手を殺さなければ成らない、すると今までまともにヒット出来なかったのが嘘のようにフェイスの芯でボールを捕らえられる、それと同時に左足体重のトップを矯正した、最初の1ヶ月から2ヶ月はこのドリルを徹底的に頑張って貰った、何とか様になって来た、しかしトップボールが50%の確立で出る、原因は極端なヘッドアップ、インパクト時の顔はこれから飛んで行って欲しいボールの弾道を期待して殆ど空を見てる。 ボールは当然ながらトップしてゴロゴロである、ところが本人はヘッドアップの自覚が全く無い、『そうですか〜?ヘッドアップしてますか〜?』である、その次にして貰ったドリルはハーフショットっと言うよりもパンチショットである、両腕は9時から3時の間で振ってもらい、頭は下を向いたままで終始スウィングする、このドリルではインパクト時の景観とはどう言ったものかを覚えてもらう事と、手首の正しい動きをマスターしてもらう事である。 100を切れなかったJさんが100を叩かなくなったのがこの頃で、初めて私の所へ来てから20回目位、もう4ヶ月も経とうとしている時の事であった。それからの彼は完全に一皮剥けた、ベアグラウンドに時下に置いたボールを5アイアンを使い綺麗なダウンブローで打ち抜けるスウィングを身に着けた。 初ティーチングから半年が過ぎた頃には、90そこそこのスコアーで回れるようになり、ハーフで38を出し、90も切って一気に伸びて行った。 そして悪魔が獲りつ行ったのはそんなに素晴らしくなった直後であった、お決まりの病気がとうとう出た、心配はしていたがJさんの場合は不思議と出ず大丈夫かな?このまま行っちゃうかな?っと思っていた矢先である。それは正月休み明けに始まった、全く当たらなくなった、今までのスウィングがどこかに消えてしまった様に、元のスウィングに帰ってしまっている、ヘッドアップ、右手打法、おまけに左体重のトップ。 勿論がっかりしたのは俺だけではない、本人はどうしてそうなったのか全く分からないのだから、驚き様も半端ではない、もう1度1からやり直しである、以前『例外中の生徒』で紹介したあの生徒を思い出した。唯救いはJさんが腐っていない事である、俺はさも何でも無い様な事を言って励ました。しかし頭の上がりが早いのは何とも治らない、トップから左肩に着いて行くあごをセーブ出来ない。 来る日も来る日も頭、頭、頭、の連続である、スコアーは100も叩く様に成ってしまった。兎に角まともに当らない、殆どがトップボール、それを嫌がって、手で打ちに行くからスウィングを造る所ではない、救いは彼の直向さである、半年の間小康状態が続く、どうしてもヘッドアップが直らない、Jさんにもヘッドアップの自覚症状が無い為直しようが無い、しかし練習では何とか出来る様に成った、しかしたまに忘れると出るまだ身についてないのである。 8月のある日彼とオーチャードへ行った、相変わらず90を切れないでいるJさんのラウンドを見るためである、そして驚いた、よく100を叩かないで回れるものだと思う位のスウィング、っと言うより酷いヘッドアップである、ラウンド中思わずJさんに言った『そんなスウィングで良く100が切れるね!!先生の顔が見てみてえ!!』ティーショットからパターまでこれほど全てにヘッドアップして打てる、っと言うよりスウィングできるものだろうか???っと、不思議な位に全てのショット、を空を向いたままインパクトしている。 その後俺は思い切った方法を取った。『ヘッドアップなどもう、どうでも良いからインパクト時に右肩を残す様に!!』指導方法を変更した、このドリルはヘッドアップをしない前提でするドリルで左サイドの壁を造る時に意識して行って貰うドリルである、しかしこれが功を奏した、絶大な効き目があった、あの頑固で7ヶ月も8ヶ月も続き、不治の病だと思われたヘッドアップが嘘のようになくなったそして今日・・・・。 もうヘッドアップの心配は全くしていない、しかしコースでは何をしているか信用はしていないが、少なくともドライヴィング・レンジでは全くその影は潜めた。やっと先に勧める段階になり、今まで課題だったグリップの圧力に取り掛かった、兎に角凄い力で握り締める、指が腱鞘炎に成りはしないかと心配に成る程である、これも長い間言い続けてきたが直らない、今日は徹底的にこれを矯正した。 グリップの握りの圧力を例えて良く『生卵が潰れない位』とか『小鳥を絞め殺さない位』とか言うが、本当の生卵でグリップを作った奴も、小鳥をグリップに括り付けて打ったウ奴も見た事も聞いた事もアリャしない、生卵が10個潰れようと、小鳥が100羽死のうと、本人は『そんなに強く握ってなんかいない!!』っと言えば証拠が無いから『そうですか』っと言わざるを得ない。俺は違う、彼らに問題を出す、但しその前に実験をする。 実験の方法は色々有るが、例えばクラブを持ってもらい俺がフェイスにボールを軽く落とす、トウ側やヒール側である、実験者がゆるく握っていれば必ず正確な解答が帰ってくる、100回やって100回正解する、次にパターでボールを打って貰う、最初はトウ側次にヒール側、そして目をつぶって打って貰う、これも100%正解する。これからが本番、次に7番アイアンを持ってショットして貰う、フェイスのどの部分に当たったか正解を出せるアマチュアは殆どいない。 これが俺の方法、フェイスのどの部分に当たったかっ分かる位の圧力が適度なグリップの握り方と言える。今日はその感触が得られないままレッスンを終わった、次も、その次も、100%正解が帰って来るまでこれを続けるつもりだ、このページTOPのJさんの写真を見て欲しい、フォロースルーの写真である、この2つは今日撮ったもので同じショットではない、違う2回のスウィングを撮ったが、殆ど同じものに見える、スウィングが決まって来ているのである、再び90を切るのも近い事だと思っている。 俺の今日の格言:何処で打っているか分からなけりゃ何処へ飛んで行くか分かる訳無い。 |