連載手記『エッペのケツ』騒動記八
第二章 エ〜エ!ウッソだ〜!!フィリピンの実像と疑惑
その2 修理は何処で・・・・ その3 バケットの穴開き?BAKIT?

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2,修理は何所で・・・・



次の朝半壊のドラを呼んで『おい!ドラ!一寸来い話がある』
『何んすか?藪から棒に、朝から悪りい話は抜きにしやしょうや!それで無くともゆんべは寝不足だあ、あんまし気分が良くねえんすから』
『お前めえに聞きてえ事が有るが、"エッペのケツ"はいつからあんなん成ってんだ?』
『何だい!モウロクしちゃったんすかい?おとといはそれ程でもなかった様に見えたがネエ?あんね、旦那、"エッペのケツ"あね、もう2週間っくれえ前めえからあんな状態なんすよ!忘れちゃったんすかい?年は取りたくねえもんだなあ』

『お前めえ、俺をからかってんのか?それとも本気で俺が急にモウロクしたとでも思ってんのか?』
『人間、なかなか自分の事あ自分じゃあ分かんねえもんっすよ』
『いい加減にしろい!モウロクなんかするにゃ、未だ早ええや!、俺の言ってんなあ、"エッペのケツ が持ちゃがるのに時間が掛かり過ぎる事を、お前めえは知ってたのか?って聞いてんでえ』
『ヤダナ〜、旦那!ヤッパモウロクだヨ、毎日誰が運転しているか覚えてねえんすかい?アッシですよ、アッシが運転していたんだ、だから知ってやしたヨ!んな事たあ、あったりめえだあ』

私に報告する事など全く眼中(がんちゅう)にない、私が報告するようには言ってなかったからだが、その事を攻める事が出来ないもどかしさが何とも歯がゆい。
こいつとナンカ話をするのが間違っていた、その後この半壊のドラに私は丸め込まれてしまう、今思えばその時が正に、嵐に向かって舵を切ってしまった瞬間だった。

フィリピンの修理工場でよく見掛ける風景の再現、どこもかしこもこんな感じだ。
『相棒!あっちが悪いんじゃネエか?いやもしかしたらこっちが悪いのかな?』
『それよりおい!相棒!チョットこれヒッペガシて見ようか?』
『いや!相棒、それよりヒッパタイテ見ようや、ハンマーで!直るかもし知んねえぞ!』
『そんな事やって、余計壊したらどうすんだ?』
『何て事ねえさ!客がその分、余分に金を払うだけよ。』

そこへ先輩のニイチャンが来て、
『てめえ達何やってんだいつまでも!』
『いやあ、先輩どこが悪いか解からねえんで』
『しゃあねえな、俺が教えてやるから良く覚えろよ!まず、じゃあ・・・、ソウダッ!そこのネジ外して見な!』
『ヨイショッ!、・・・・ヤッパ、駄目ですねえ先輩』
『駄目かぁ?よし!ジャア・・・ヨシッ!次はこのナットだ、外して見ろ!』
『コラッショッ!、・・・・先輩ヤッパリ、同じでエンジン掛からないっすヨ』
『コンチキショウ、何だこの車は、故障してんじゃネエのか?』

ここまでは酷いと思いたくは無いが、五十歩百歩、大同小異、同じ穴のムジナ??だ。
チョット待って下さいよット!同じ穴・・と言う位だから、ムジナが2種類居るはずだヨネ?、タヌキは知っているが、もう一種類はさて何でしょう?実は・・・。この話どっかでしたね!!
この光景を見ると私はいつも全く違ったシチュエーションを思い出す、ゴルフ練習場の光景、これが黙って見てると、とっても面白い!直すのが車とスウィングの違いだけでやっている事は全くこんな調子である。

私は何度も同じ光景を、これは本当に見て来たが、教えている姿、教えられてる姿は、全て押しなべて、これこそ五十歩百歩、大同小異、同じ穴のムジナ・・・・・・次に行きます。
勿論隣の打席にいる私がプロだなんて事知りっこ無い、若い男が物凄い形相でゴルフ・クラブを持ってやけくそに振り回している、もしクラブを持っていなかったらゴルフのスウィングをしている様には絶対見えない、その姿はまるで暴走族が喧嘩の練習をしている様(さま)。

そこへ先輩らしき年配の男がやって来るのもお決まり、
『そんなに力んじゃダメダ!もっと腰を切って鋭く回れ!』
こりゃ驚いた、『腰を切る』ってどうやんだ?新語だね!ゴルフに『腰を切る』なんて言葉も動作も有るわけない、どうせどっかの受け売りに決まってるが
『はい!先輩、こうですか。エイッ!ヤ〜ッ!』
『それじゃボールが右に行っちゃうだろうが!もっと、こうしてこうやんなくちゃ!!』
『はい!先輩!こうして!こうやって!コンチクショウ!』

上手くいかない、よせば良いのに先輩が見本を見せると言う
『こうやるんだ良く見とけ!、ソラ〜ッ、どうだあああッ』
これも上手く行かない『ダメダ!、キットお前のクラブが軽すぎるからだ・・・』
『そうですか?』
『よ〜じッ、よく見てろ!もう一度だ!!』
10分もスッタモンダやっている内に、バシッっと良い当たり
『なっ、解かったか、ゴルフはこうするもんだ、もっと頑張って練習しろよ!』

1時間位ボールと喧嘩して帰っていったが、良い当たりはさっきのまぐれ当たり一回きりだった、教える方も、教わる方も全くゴルフを知らないから、どうにも成ら無い、教わる方はロボット、教える方はロボットを動かすボタン操作が出来ない、こんな可哀そうな光景を本当にしょっ中見る。

本題に戻しまして。
『いつからだ、遅くなったナア?』
『冗談言っちゃ行けませんよ、あっしゃあ遅刻なんぞこれっぱかしもした事た〜ござんせんゼ!早起きのドラって言やあ、小ったあ知られた俺様デイッ!!』
『何トンチンカンな事言ってやんデイ!!てめえの遅刻なんざ興味ねえや、お前めえこそモウロクしてんじゃネエか?それとも俺の話しょお聞いてねえのか?"エッペのケツ上げ"の事ったよ』
『ああっ、あれね!確か1週間くれえめえの事だったと思いやすヨ。それがどかしたんで・・・?』
『おうッ!お前めえと漫才している暇はねんだヨ!どっか修理に出さねえと、取りっ返えしの付かねえ事に成りかねねえ、・・・・所でどこの修理屋に出すか・・・?』

『アラバンにフォードが有りやすよ、旦那!』
『てめえっ、俺をおちょっくてやがんな?』
『ジョウダンすよぉ、やだな!マジん成っちゃって。こう言うのはどうっすか?取り合ええず、アッシの知り合いに見て貰うっちゅのは?』
『でえじょぶか?』
『ほらっ、いつか電話した時の奴が永くエッペに乗ってて詳しいんすよお』
『ホンとに、ホントに、デエジョブか?』
『ちょいと見て貰うだけっすから、奴が手に負えねえようなら、ほか当たりやすヨ、心配ぺえしねえでデエジョブでさぁ』

私は馬鹿だった、この言葉に乗っちゃった、最初に『エッペのケツ』が落ちているの発見した時、アドバイスを受けた事が有るもんで、気を許しちゃったのが大きな間違いだった。

いよいよ嵐に向かって舵を切ってしまった私でした。


3、バケットの穴開き?BAKIT?




こりゃあ早急に明日手配しないと危ねえぞ.

ここで皆さんに『おことわり』 前にもお話したように『エッペのケツ』事件が発生している間は他の問題がお休みしていてくれた訳けでは勿論有りません、容赦なく私の身体目掛けてぶつかって来ます、その当時同時進行していた問題は『アペンデックス(盲腸)』
『GM交代劇』『ショップ存亡の危機』
『新企画事業のスタート』
『蚤、大発生!!』
『ショップ移転どうする今後の身の振り方』
等沢山有ります、多分こう言った横道には逸れて行くと思われますが、温かい目で見守ってやってください。

『どうっすかい?旦那、試しにやってみちゃあ?』
『んんん・・・・じゃあ、明日行って来て見ろ、直せねえ様だったら無理しネエで、帰けえって来いよ!それから修理に掛かるメエに値段聞けヨ!そしてミスコールも忘れんな!』
『解かってやすよ、旦那!ヤダナア、取り越し苦労すっと、白髪がもっと増えっちゃいやすよ、アッシに任せておくんなさい』
『なにおっ!白髪が増えたなあ、てめえの性だ!テメエが来る前めえは真っ黒だったんデイ!黒れえのけえしやがれ!』

『それだから旦那はイケネエや、ネッ、もっと冷静に話さねえと、こんだぁ血圧まで上がっちまうよ!』
『お前めえヨ、良くその歯のねえ口で、不便そうに、憎まれ口たたけるね?エエッ?今に見てろヨ、手めえの寝てえる間に、その赤けえ頭ペンキで真っ青にしてヤッカラ!忘れんな!』
奴の頭の毛は赤っぽい色をしていた、染めたのではないようだが、明るい所にでるとかなり赤く見えた。

半壊のドラが次の日エッペを持って行った先は、私も満更知らない所でもない、以前住んでたサブディビションの近くだからで有るが、修理屋では無い、しかし車は沢山止まっていたから、車と関係の有る仕事をしている会社だとは思っていた、確かに青色のエッペが有った様な気もする。

朝15分近くも掛かってエッペのケツを持ち上げてから、半壊のドラが家を出たのは10時頃、私はスペゴンで仕事に出た、奴からミスコールが入ったのは、午後の3時頃、私がティーチングも一段落してビリアモルに居た時だった。 『旦那、どうもバケットが悪いらしいや』
『何だア?そのバケットちゅうのは?』
『エッペはエアサスでやんす、エアーを貯めてッサスペンションにするんすが、その貯める部品をバケットって言うんでゲス』
『それが、そのバケットがどう悪いんだ?』
『どうも小さな穴が開いている様だと、ダチが言うんでゲス、だから少しずつ空気が漏れてケツがオッコチャウ、っという話でゲス』

『ってえ事は、バケットを取り替えなきゃ何ネエのか?それとも修理できんのか?』
『まだ聞いてねでゲス』
『いいか!ゲスゲス言ってねえで良ッく聞け!修理が出来るんなら幾ら掛かる、交換なら幾ら掛かるか聞いて来い、でもそこじゃ修理出来ねえだろう?』
『そいつも聞いてから、もいちどコールしやすでゲス』
『一寸待てドラ、俺が直接話してみっからお前めえのダチと替われ』
『よござんす、一寸待っておくんなさい』

『お久しぶりでごぜえやす旦さま、おらの事覚べえていなさらんだろネ〜』
『お前めえさん、俺の事知ってんのか?』
『知ってるも、知らねえもネエモンダ、旦さま、ホレッ、サブディビションのお、ゲートの向かいっ側んのお、赤いでっけえ門のお、車がいっぺえ有ったとこんのお・・・』
『オウッ、ソリャ知ってるが・・・?』
『ホレッ、一度スペゴンがエンストした時・・・・』 
『ああ、アン時のお前めえさんかあ、あんときゃアリガトよ、お陰で助かったぜ』
『とんでもごぜえませんヤ』

まだ1年一寸前の話、その頃済んでたサブディビションのゲートの前でスペゴンが急にエンストした時に助けてくれた男が居た、それがまさかドラの友達で青色のスペゴンの運転手とは知らなかった、と言ってもドラの家も友達の家の直ぐ側だから知っていて不思議は無いが、名前はジージョと言ってた、忘れはしない、あのねずみのトッポ・ジージョのジージョだそう言えば顔もどこかねずみの様だった。

ジージョの話をカイツマンデ話すと、こんな事だった。
バケットの修理は出来ない事、したがって交換しか出来ない、金額は60,000ペソ位する事、以上がその時点で解かった。

家に戻ってからエッペはそのまま置いて来たと言う半壊のドラに、詳しく聞いた、
『60,000ペソは痛えなあ!何かうめえ手はネエのか?』
『ダチ公の言うにゃあ、前(めえ)に別のエッペでエアサスのバケットを修理しようとした事が有ったっちゅんすが、どうも上手く行かなかった様でゲス』
『両方とも悪りいのか?バケットあ?』
『そこんとかあ奴もフォードの修理屋じゃねえんで解からねえんじゃねえっすかね?交換ぐれえは出来ると言ってやしたが・・・ゲス』
『セコハン、ネエだろうか?』

『始まっちゃったよ!ドケチがぁ!あんね、旦那、"安物買いの銭失い"ってのは、旦那の事お言ってんでしょうネッ!キット!、後で泣き見たって、あっしゃあ知りやせんよお!まあ明日聞いてみやすがネッ、期待しないでおくんなさいよ?しかし、ここまでドケチにゃ成りたくねえもんだなあ、全く、ゲス』
『ドラ、何だそのゲスゲスってなあ?』
『なんだ!旦那江戸っ子のくせに知らねえんすかい?江戸っ子はみんな言葉の最後にゲスって付けるんすよ、ゲス、ホントに江戸っ子なんかねえ?旦那ア、ゲス』
『バ〜カ!!そんな事言わねえよ!どっから聞いてきたんだ、ッたく!』

次の日ドラは一日掛けてエッペの中古バケットを探して歩いた、イバンゲリスタには車の修理屋ばかりが集まって出来た一角が有る、かなりの数の修理屋や部品やが表道理から裏通りまで所狭しとビッシリ並んでいる、勿論数なんか数えた奴も居ないだろうが、ザット1,000件(もっと有るかも知れない)位は優(ゆう)に有ると思われた。

此処は自動車パーツの宝庫だ、フィリピン中からパーツを探しに修理屋のプロが集まってくる、それと同時に偽物(にせもの)、コピー品の氾濫(はんらん)もハンパじゃない、プロは騙(だま)さないが、素人は良い様に手玉(てだま)に取られる。

最初は私も随分騙されたが今は顔見知りも出来私を騙すような事は無いが、そうな成るまで3年は必要だった。 サンプルが必要だと言うので、エッペから外して持って行ったドラは、夕方それをぶら下げて家まで持って帰って来た。

『旦那だめだ!イバスタにも中古は全く無ねえや、おらあもうくたびれ果てた!覚悟決めておくんなさい、シャンネエや、ネエんだから』
『おお、ご苦労だった、所で今何んちゅった、?イバシタ?とか言ってたなあ』
『やだな旦那!もう耳に来てるんッスカイ?ヤダネ、年あ取りたくねえもんだ、イバシタじゃねえっすよ!イ・バ・ス・タ!、イバン・ゲリスタを粋(いき)に縮めてこう言うんでさあ、スターバックスをスタバって言うじゃねえっすか』
『な〜にが粋でえッ、粋が聞いて呆れらあ!、まあ短けえなあいいや、ナッ、そんでヤッパ無かったかイバスタにも、・・・・・・仕方がネエ、新品と取り替けえるとすっか』

そこで取り替えていたら、今どうなったか想像は付かないが、取り替えなかった訳がある。

続く・・・・。

約1年間にも渡り、私を悩み続けさせた車の故障、          フィリピン自動車修理工場のダマシやズルの実態を
その故障発見から修理完了までの長い道のりは、          全てさらけ出した貴重な実体験記録、涙と笑いで綴った
常に付きまとうフィリピンならではの大ジレンマと           一大悲喜劇 『エッペのケツ』騒動記 新連載開始しました。
戦い続けなければならない長く苦しいものでした。
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