連載手記『エッペのケツ』騒動記六
第一章 エ〜エ!ウッソだ〜!!フィリピン自動車保険会社の醜態
その11 再び登場、ご存知ホソダレメのオオム野郎 その12 金属バットでぶっ飛ばす!!


今日の新たな登場人物はだ〜れも居ませんでした。

その11 再び登場、ご存知ホソダレメのオオム野郎

なんだよ!書き始めてからもう「その11」にも成るのにまだ『エッペのキズ』やってんのかよ!!っとお久しぶりの貴方様、後2〜3話もすれば、『エッペのケツ』に戻っていると思われます、但し確証はどこにも有りませんが!、ですからもし『エッペのキズ』に飽(あ)きた方は2〜3話飛ばして見て下さい、毎々ご苦労様です、・・・・でも本当はこれからがいい所なんだがな〜。

たまにこう言った"おことわり"を入れて置かないと期待されている方に申し訳有りませんから、しかしこう言う配慮(はいりょ)はどうも私の親切心から出るものでも有りますが、本当は臆病(おくびょう)で気の小さい性格がそうさせるのだと思います。

久しぶりにホソダレメのオウム野郎の声を聞く事に成った、取り合えず修理が終わった事は伝えておこうと思って電話した。
『やっと修理が終わりました、明日フォードへ車を引き取りに行きますが、持って行くものは免責分(めんせきぶん)の小切手だけで良いでしょうか?それとも何かそのほかに必要なものは有りませんか?』
『イエ、その他に必要なものは有りません』
『それでは私は用事が有りますので、運転手に行かせますが、問題ありませんネ?』
『はい!問題ありません』

所がドッコイ問題が有った、まずドラがエッペを引き取りに行った当日。 私が朝の仕事から戻ってくると、庭がスカスカしている、そうなんです、戻って来ているはずのエッペが無い、未だドラは戻って来ていないのか?しかし出かけてから6時間も経っている、それとも何か又問題が?

家の中に入るとドラは帰って来ていた。
『エッペはどうした?』
『だんな、小切手は駄目だってんで、門前払(もんぜんばらい)いだったっすよお、よっぽど旦那は信用がねえんすネ〜』
『バカ言ってんじゃネエよ!それでフォードは現金持って来いってか?』
『そう言うこってす。』
『お前めえ何でその場で俺に連絡・・・』
ここまで言って止めた、問題は無かろうと、たか括(くく)ってた俺の失敗だ、こいつが出かける時に
『何か問題が有ったらミスコールしろ』とは今度は言わなかった、情けねえが私の失敗と思って諦めた。

これを読んでいる方は、又又『ホントかよ〜!ウソじゃねえの〜』っとお思いに成るでしょうがフィリピン人はこう言う者です、1,2,3(これ以上4は無理です、)っと頼む事は全て毎回言わなくては駄目、自分で物事を判断する能力は殆ど持ち合わせが無いと思った方が正解に近いでしょう、『前回言ったから解るだろう』は決して有りません、今回だって、又次回だって、毎回、全て1からやり直して伝えないと、この様に帰って来てしまいます。昔飼ってた犬は棒を投げると例え深い草むらの中に入ってしまっても探し出すまで帰ってこなかった、何とかやり遂げ様と頑張っていたのを思い出す。

多分私がフォードと話せば何の問題も無かったと思える簡単な事でも、私の一言が足りなかった為に、今日一日を無駄にしてしまいました。 『お前は半壊(はんかい)コンピューターだな!』っと言ってやりました、コンピューターは入力漏(も)れのカバーはしてくれません、入力した物だけ答えを正確に返してきます。

しかし壊れたコンピュータは一切を答えてくれなく成ります、ドラも全部答えてくれませんが入力した分は答えてくれます、ただし困った事にこのドラ・コンピュータは、入力出来る範囲は極々小スペースです、まあ5バイトから10バイト位かな、それに加えて保存が一切出来ません、半壊です、半壊のドラです。

それに付けてもホソダレメのオウム野だ!小切手を持っていく事はチャント告げて有る、又へまをしやがった、まあ言いや、小切手で駄目なら明日現金持って行きゃ済む事だ、ホソダレメのオウム野朗に電話を・・・、っと思ったがやめた、電話しても、もう終わった事である、文句を言って終わりじゃしょうがネエ、それに文句を言うのもクタビレタ。

ガッカリしている私には、実はその時もっと大きな問題がフォード・アラバン滞在中のエッペに起こっていた事など考えにも及ばなかった。
そしてこの時思い止まったホソダレメのオウム野朗への文句は、激しい怒りとしてぶつける時が来る事も、その時の私は幸せな事に、想像すらしていなかった。

次の日の朝、何か不吉(ふきつ)な予感はしないでもなかったが、ヤッパリ半壊のドラに行かせた、その頃レッスンが結構入っていて、それをたかが車を取りに行く位でスッポカス訳には行かない。
しかし今度は半壊のドラに言う事は忘れなかった『何か問題が有ったらミスコールする事は忘れるな、もし車を無事引き取れたとしても、フォードを出る前にミスコールしろ、解ったか?与太郎のドラ!』

『解りました、ミスコールすりゃ良いんでしょ、簡単な事った』
『俺にとっては確かに簡単だが、お前めえさんに取ってはかなり難しい注文を付けてると解釈(かいしゃく)している、だから念を押すんだ』
『言ってくれりゃあ出来やすよ、アッシにだって簡単な事った!』。

本人は昨日の事で自分がミスした等など夢にも思っていない、イヤ!、そうだった!半壊のドラはミスをしていないんだった、私がミスを犯した重罪人でした。
そしてそれから1時間ほど経ってミスコール、半壊のドラからだ、車を出したのかな?そして電話を架けて『気を付けて運転して帰って来い』っと言おうとしたら、奴の方から先に訳の解らない事を言い出した、しょうがねえなあ前歯を早く入れろって言ってんのに。

『もっとゆっくり話せッ!』
『だから、耳が付いてねえんすよ、まだ!』
『ウッソだろう!お前、車見間違えたんじゃねえか?』(どっかで聞いたようなセリフ・・・きっと私の得意なセリフなんでしょう)
『冗談言ってる場合じゃねえっすよ旦那、どうしやす?』
耳とは半壊のドラと俺との隠語(いんご)でフェンダー・ミラーの事、長ったらしい名前はみんな縮めちゃうのが私、そしてエッペの耳はでかい、まるでミッキーマウスの耳の様である、耳はタガログ語でtengaだ。

突然(とつぜん)で、しかも考えてもいなかった事を言われた私が、我(われ)に帰りドラに
『カクヅラはそこにいるか?』
『いるッす、ひっクックってそっちへ連れて来やすか?それとも今ぶっ飛ばしやすか?』
『ほ〜ッ、相変わらずイセエだきゃあいいなあ!今あ電話だけ代われ』
『ヤロー、助かりやがった、今代わりやす』
『どうして耳が着いてないの?』っと私が優しく聞くと
『保険屋から指示書がこないんです』
おかしいな?指示書は私が持って行った・・・。

話を聞いて事情が解って来た、こう言う事だった。

フォードへ私が修理に行った当初、指示書違いでもめたが、保険屋からの連絡で車は受け取った、その後指示書を耳の交換まで入れたものと差し替える予定だったらしい、が、それをホソダレメのオウム野が持って来ないか、送らなかったか、その辺の事情は定かでは無いが、兎に角フォードでは受け取って無い訳で、それで私の持って行った指示書に基(もとづ)いて修理をした。っとこう言う訳だった。

『どうして電話の一本もくれなかったの?』
っと言うと、カクヅラは
『何百台もの車を管理してますから、そんな事は無理ですネ〜』
っと私を気の毒がっている様子だ。 フォードへ行った時の車で埋(う)め尽(つ)くされた様子が目に浮かんで来て、彼の言う言葉に納得した、そして納得出来ねえ野朗がホソダレメのオウム野郎だ、大ウソツキ目!!絶対許さねえ!!

とうとう私の堪忍袋(かんにんぶくろ)の緒(お)が、バチッ!っともの凄い音を立ててブチ切れた!。





その12 金属バットでぶっ飛ばす!!

 とうとう頭のテッペンまで血が登ってしまった、その勢いのままホソダレメのオウム野に電話した、当り前だ黙っていられる訳は無い、今度こそドタマカチワッテやる!!。

電話の向こうでオペレーターのネーチャンがなんか英語で言ってる、いつものネーチャンか?・・・ん?な訳ない、奴の携帯に電話してるんだから、幾ら奴の担当者でも、そこまでは担当はしてないはずだ、どうも電波の届かない所にいるらしい、もしかしたら感付いて電源を切りやがったか?そうじゃない!、私も今さっき解かったばかりの事だから、ホソダレメのオウム野の耳にゃエッペに耳が付いてない事はまだ届いちゃいない。

アンニャ野朗命拾いしやがった!!さあ!どうしてくれようか!、会社へ乗り込むか?その前に奴の上司と電話で話し合うか?そんな事を考えていたら、頭が少し冷えて来た。
一寸待てヨ!!、今のままの心境(こころもち)でホソダレメのオウム野郎に電話したら、私は絶対怒鳴(どな)り飛ばすネ〜、そしたら奴はどうする、
『スイマセン!今直ぐそちらへお伺いして善処(ぜんしょ)いたします』って素直にこっちへ来るか?いや!逃げちゃうかも知れネエナ!駄目だこりゃ。 もしかしたらさっき電話が通じなくて良かったか?よ〜し!、後ろ手に金属バット隠して、猫なで声で呼び付けて、近くに着たらいきなりブッ飛ばす!、ヨシッ、この手で行こう。

所でドラはどうしたかねエ?あれから何の指示も与えていないから、あのまんまフォードに居るのかねエ?居てもしょうがねえのになあ、そんな事を考えている自分とは違う、イライラしているもう一人の自分が別に居るようだ、そいつが何か冷静さを取り戻したもう一人の自分に納得行ってい無い、もっと怒りたいのである、もっとイカッテも良い場面である、めったに無いチャンスだからこんな時こそ爆発(ばくはつ)したい!しかしそれに反していたって冷静な自分も居る、私は多重人格者か?

半壊のドラはやっぱりフォードに居た、帰って来いと言って電話を切った、しかし良く考えて見りゃ、ドラの方があのホソダレメのオウム野郎より上だな!言われない事はしないが、言われた事は忠実に守る!いや少なくとも守ろうとする、今度ホソダレメのオウム野郎に合ったら給料幾ら貰ってるか聞いてみよう、キット日当350ペソだ、もしそれ以上貰ってたら奴は泥棒だ!!その事を保険会社にも御注進(ごちゅうしん)っと訴えてやる。

暫らくしてもう一度ホソダレメのオウム野郎に電話した、今度は呼び出し音が聞こえる、『はい、抜け作保険のウソヤモモダロウです』今度は出やがった、金属バットは見せないで、
『一寸大事な話が有るから今直ぐ来てくれないか?』
『何で御座いましょう?』
『いいから俺が来いって言ってるんだから直ぐ来いよ!』

いけね!チラッと金属バット見せちゃった!!しかし鈍感(どんかん)なホソダレメのオウム野郎は気が付かなかった様子で
『はい、それでは今からお伺いしますが、まだカビテにおりますので、2時間位お待ち頂けますでしょうか?』
『結構でんネエ!、お待ち頂かせて貰おうじゃないの!絶対てえ!お越し下さいよ〜!』
『了解いたしました。』

ホソダレメのオウム野郎とはビリアモル以外で会った事がない、来い!と言えば此処だけである。
奴の来るまでどう料理してやろうかとオオム料理のレシピで頭がイッパイだ、まず金属バットでボコボコにして、グラグラ煮立った湯の中へ叩き込んでゆで上げにしたろうか!、それより、いきなり頭から噛み付いて刺身で食っちゃろか!、いや!八つ裂きにしてから熱い油の中へぶち込んでフライにしてやった方が旨めえ!、いっその事、串刺しにして燃え盛る火でこんがり焼いてバーベキューか・・・。

2時間もしない内に何んにも知らない奴がニコニコしながら現れた、まだ伝家(でんか)の宝刀(ほうとう)金属バットは後ろ手だ『あんた!今俺のエッペがどう成ってっか、知ってっか?』
『はあ。修理が終わって引き取りにいらっしゃったんですよね?』
まだニコニコは取れねえ、今畜生!今に見ろ!ニコニコ何んてナア、今だけだ!!
『そうだ!偉えな!良く知ってる!あん時俺ぁ、お前めえさんに電話したもんな?』
『そうでした』
『お前めえさん、その事フォードに電話したか?』
ニコニコがふっと消えた、これからだぞ、今に大泣きさせてやっから覚悟しとけ!

『いいえ、問題は無いと思いまして・・・』
『フォードは俺の小切手は不渡りに成るかも知れねえって、受け取らなかったヨ!!』
『ええ?そうなんですか?』
『今更ビックリすんねえッ!お前めえさんに言ったよな、あん時、小切手持って行くって?覚えてっか?』
少し困ってきやがった、顔も赤く変わって来た、まだ始まったばっかだよ!アンチャン!

『いや〜!まさか小切手は駄目なんて思わなかったものですから・・・』
『何んッんにもお前めえさんは知らねえんだねえ?まあ、知らねえのはしょうがねえとして、確認はしネエ、やる事ぁ全部フィリピン人のオネエチャン任せ、任せた結果も確認しネエ、ミスが起きてからお前めえさんの耳に入るって具合だ!そうだな?んんッ?それともどっか違うとこ有ッか?』
おッ!半泣きに成ってきやがった!、そんなもんじゃ終わんねえぞ!

『真に申し訳有りません、それでは直ぐにフォードに連絡して、小切手を受け取る様に支持します。』
『おう!おう!何トンチンカンな事言ってやるんでエ、そんな事たぁもうトックに終わってるよ、今日はそん何んでお前めえさんを呼び付けたんじゃネエや!!』

いよいよこれからが私の見せ場!いいとこダ!、ヨッ!こいつあ面白くなってきやがったぜ、コンチクショウ!!
『へッ?まだ何かあるんですか?』
『おう!ホソダレメのアンチャン!オウム野郎ヨオ!もう一っけえ、さっきの質問だ!オイ!そのきッたねえ耳カッポジッて、よおっく聞けよ!今、たったこの今だ!俺のエッペがどう成ってっか、本当に知らネエのか?返答いかんによっちゃあ許さねえぞ、今度と言う今度ア!!』

ホソダレメのオウム野郎は急に大きな声を出した私にびっくりして、後ずさりまでしやがった、ざまあ見ろってんだ!。 そして怯えたような口調で答えたホソダレメのオウム野の答えは、確かに保険屋らしい答えでは有ったが、私の怒りをますます高めるための助長(じょちょう)をする言葉でも有った。

続く ・・・・・。

約1年間にも渡り、私を悩み続けさせた車の故障、          フィリピン自動車修理工場のダマシやズルの実態を
その故障発見から修理完了までの長い道のりは、          全てさらけ出した貴重な実体験記録、涙と笑いで綴った
常に付きまとうフィリピンならではの大ジレンマと           一大悲喜劇 『エッペのケツ』騒動記 新連載開始しました。
戦い続けなければならない長く苦しいものでした。
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