連載手記『エッペのケツ』騒動記三
第一章 エ〜エ!ウッソだ〜!!フィリピン自動車保険会社の醜態
その5 期待はずれの日本人保険屋 その6 泥沼化 『エッペのキズ』


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その5 期待はずれの日本人保険屋

フェンダーミラーの修理が指示書から抜けてる事を伝えると、ホソダレメは電話の向こうで参(まい)っている様子、ホンとに情けない声で『ええっ、本当ですか?そりゃ困ったなあ』
『あんたネエ!困ってんのは私だよ、それにあんた、私の書類送る前にちゃんとチェックしたの?』
『いやっ、担当者にチェックするようにいったんですが・・・弱ったなあ』
『あんた、いつも何かあると担当者、担当者って言うけど、あんたが私の担当者じゃないの?』
『それはそうですけど・・・参ったなア』
『困ったり、弱ったり、参ったり貴方はしているようだけど、私の方がもっと困ったり、弱ったり、参ったりしているんです。兎に角書類書き直して貰わないと困りますヨ!どうすれば良いですか?この書類送り返しますか?それとも貴方が取りに来ますか?なんなら私が会社まで事情説明方々持って行きましょうか?』

こう私が言った時ホソダレメの姿は見えなくとも大慌てした様は手に取る様に伝わった。
『いや、そんな事されちゃ困ります、ッじゃ無くて、結構ですお届け頂かなくても、稟議(りんぎ)のやり直しをしますので、暫(しば)らくお待ち頂けませんでしょうか、又決済が下りたらご連絡します。』
『しょうがないなあ〜、でも、早くして頂戴よ!もう直ぐ2ヶ月になっちゃうよ!』
『承知いたしました。』
承知したとは言われたものの、言われた私はいやな予感がした、そして私の予感通り、このホソダレメのお陰で、これから又一山も二山も越えなければ成らない事になって行った。

何時もこんな具合だが、ホソダレメからは連絡が無いのでこちらから電話する、『まだ決済が下りませんのでもう暫らくお待ち下さい』の一点張り、詳しい事情の説明が全く無いまま一ヶ月近く過ぎて、事故からは3ヶ月が経とうとしているある日、珍しく保険屋から電話が有った、がっ、日本人ではなくいつものネエチャンからだ、なんだろうと聞いてみると、コリャ驚いた。
『保険の満期が切れそうなので契約更新して下さい』との事だ、
『一寸待ってくれないか、今問題に成っている事を早く解決してくれないと困る、契約更新はその後の事、それが筋じゃないですか?それよりいったいいつになったら私の車の修理が出来るんでしょうか?』
それには何の答えも返ってこず、『又連絡します』の一言で電話は切れた。
私の言葉が通じなかったのか、無視されたのか一週間位過ぎてから又同じ契約更新の催促(さいそく)、ホソダレメに直接電話して事情を話す、彼の言葉は又『担当者が勝手に電話してしまって・・・』 こいつはこの言葉しか言えないのか?ッタクウ〜!,オウム野郎!!。
しかし話している内に少し状況が読めた、再稟議(さいりんぎ)が難しい事、保険が切れると一層通すのが難しくなる事、などである、そんな事私の責任ではないから知った事では無い、以前から私は考えていたが、多分ホソダレメのオウム野郎は自分のミスにはせず、私の『修理箇所の申告漏(しんこくもれ)れ』とでも言って再稟議を提出したのだろう。

これだと確かに難しい稟議になるかも知れない、『この修理箇所は違う事故じゃないの?』っと疑うからである、さもなければこんなに時間は掛からないはずだ。 私もこのままでは承知できない、遅れているのは私の責任ではなくホソダレメのオウム野郎の、イヤ、保険会社のルーズさが引き起こした事である、そこでホソダレメのオウム野郎が苦し紛(まぎ)れの提案をして来た事は、そんなの有りか?っと言う位日本では有り得ない訳の解らない事だった。

『自動契約更新の形を取って良いでしょうか?』
『なに?それ?今の問題が解決しない限り契約更新の書類を送って来てもサイン何かしないよ。』
『いや、サインはいらないんです、私の裁量(さいりょう)で出来る事ですから、そうしないと稟議が通り辛くて・・・・。』
『そんな事出来るの?でも私は承知した訳じゃないからね。』
ヤッパリ私の想像していた通り、ホソダレメのオウム野郎がしくじったらしい。

稟議書は勿論(もちろん)ホソダレメのオウム野郎が作る、もしかしたら例の"担当者のネエチャン"にやらせたのかも知れないが自分で稟議書をチェックしないで会議に掛けたのであろう事は容易に想像できた、
『でもチャントした契約更新の話はこの件が片付いてからですよ。』
『それはよく承知致しております。』 そんな話があってから決済が下りたと連絡が有ったのが事故を起こしてから3ヶ月も過ぎた頃だった。

これで後はスムーズに事が運ぶだろうと思った私が浅はかだった、フィリピンでは例え日本人が担当者でも簡単に物事が進む事は無いと思い知らされたが、本当にフィリピンの性だろうか???こいつが担当者じゃ日本でも同じ目に・・・・。

決済が下りたのならフェンダーミラーの交換が付け加えられた、新しい書類が来なければ成らない、それを待つ事1週間、とうとう怒りが込み上げてきた、これにはいつもニコニコ優しいお兄ちゃん(言葉のアヤです)でも許せねえ!!どっかで聞いたせりふだがそんな事にかまっちゃいられねえ、電話に出たホソダレメのオウム野郎に、 『アンタいったい何やってんの?まだ新しい書類届かないじゃないの、また担当者の性にしたって駄目だよ!同じ手は何度も使えないからネ!』

これは殆どライブです、この様に言ったた覚えがチャンと有ります、ホソダレメのオウム野郎は『申し訳ありません、調べてからご連絡いたします』等と答えたと思う。 こいつぁ日本の会社を左遷されて、フィリピンに飛ばされた部類の日本人だな!、何たって出来が悪過ぎらあ。



その6 泥沼化 『エッペのキズ』

 ホソダレメのオウム野郎から連絡が来たのはその2〜3日後だった。
『あの〜、前の書類はお持ちでしょうか?』
『勿論(もちろん)有りますよ、交換なんでしょう?、新しいのと。』
『いや・・・、実は今お持ちの書類を修理に出すフォードで提出して頂ければ結構ですので、そうして頂けませんか?』 変な事を言う男だな?っと思ったが、
『それで大丈夫なんですか?問題になったら面倒だから・・・。』
っと聞くと、
『私が先方へ連絡を入れて置きますから、問題ありません。』

どうもこれは又何かヘマをヤラカシたな!っと感づいたが、こちらの関知する事ではないので、その事には何も触れず
『どこのフォードへ入れたら良いの?、指定が無いなら自分で近い所を選ぶけれど。』
『それでは指定工場が御座いますので、追ってご連絡いたします』
『アンタね!一回で事が済まないの?それとも一回に一つの事しか出来ないの?指定工場が有るなら先に調べて置くのが常識じゃない!!ニッポン人の!!』
『大変申し訳ありません、ご連絡致しますので・・・・』
今思い出してもホントにホントにイライラする、信じ難い事だが、指定工場の連絡が来たのはその電話の1ヶ月後だった、『エ〜ッ!ウッソだ〜!』と他人事なら私も思う所だが、実はこれが真実、っと言う事は事故を起こしてから・・・・・・何ヶ月目だ?、ンンンン・・・数えてみると4ヶ月経ってる!!、こんな事誰も信じられないだろうナ〜、本人でさえ信じられないだから。

勿論私はその間何度も連絡したが、ホソダレメのオウム野郎は逃げてるかのように携帯は出ないし、いつものネエチャンに伝えても『暖簾(のれん)に腕押し』、『ぬかに釘』、強い言葉で言ってみても、『かえるのツラにションベンだッッッ!!!』 昔の事だが、今考え直しても・・・、クックック・・・もう泣きたくなってきやがったッ。

後で考えてみると、実はあの時点ではまだ稟議が下りてなかったのでは有るまいか?私があまりにも(注)桎梏(しつこく)言うもんで(私は当然と思うが、ホソダレメのオウム野郎にとっては桎梏(しつこく)感じる・・・だろう)苦し紛(まぎ)れの嘘をついたのだと思われた、指定工場を教えなければ、稟議が下りてもこちらは修理に出せない、きっと時間稼(かせ)ぎをしていたに違いない、そうすると話の辻褄(つじつま)が有ってくる。

(注)桎梏・・・しつこく 《「桎」は足かせ、「梏」は手かせの意》 私も今日知りました、漢字が有ったんですね!意味もこんな意味とは知りませんでした(参考URL )知らないのは私だけかも・・・。

でも、その時はこれで工場も決まったし、後は修理が出来ア上がるのを待つとするか、っと楽観(らっかん)・・・何て簡単に行く訳が無いのがフィリピン!なのか?ホソダレメのオウム野郎ゆえか?。 その後指定されたアラバンのフォードへ修理に出して、車が私の手元に帰ってクルマで(シャレてなんかいる場合じゃないが)何と2ヶ月以上の月日がどうして必要なのか?。フィリピンの修理工場とはこう言うものらしい、と言うかこう言うものである。

アラバンのフォード修理工場へ車を持ち込めたのは、もう一回言っちゃうが、驚く無かれ、たってヤッパリ驚く、ナッ、何と事故から既(すで)に4ヶ月が過ぎていた、こんなバカバカしい話は少なくとも日本では聞いた事が無い、ホソダレメのオウム野郎は日本の保険会社(超一流)からの出向社員らしいが、もしかしたらホソダレメのオウム野郎の担当した事故は日本でもこんな具合だったのか、っと私は勘繰(かんぐ)った。

フォードに書類を提出して、フェンダーの事情を説明しただけでなく、指示書の空欄(くうらん)にチャント注意書きで書き添える、が、それは駄目(だめ)だと言う、ヤッパリな!私が危惧(きぐ)した通り、又面倒な事に成って来た、
『保険屋からこの件について連絡が入っていないか?』
私が訪ねると、受付の男は
『待って下さい』と言って奥へ入って行った。 あ〜、メンドイ!、っと言ってほっぽり投げる訳にも行かないし・・・・、戻って来た男は、ちょっと偉そうなのを連れて来た。

年は40には成っていないであろう、身長は170cm位、小太りでやけに顔が四角い、目が点の様に小さい、が口は結構でかい、その彼の言うには『連絡は無い様ですので、保険屋で書類を書き直してもらって来て下さい、当社では保険修理の場合、指示書以外の修理は全て別勘定でご請求させて頂きます。』だとさッ。

至極当然の事で有る、断って置くが、これは全てタガログ会話、そして解ってしまうのが、どこか素直に喜べないのと納得のいかない私なのだ、が、英語で喋(しゃべ)られたら困るので、何時も私のほうから先にタガログで話し始める事にしている、「こりゃ〜、もう一度英語の勉強をし直さなくちゃならねえな!」っといつも感じてはいるが、その気になるのはその瞬間(しゅんかん)だけで、喉元過(のどもとす)ぎたらすぐ忘れる、イヤッ、忘れてない時もヤッパリやらない、

忙しいし、メンドイし、今でも立派(?)に生きていられる。
『保険屋に今直ぐ連絡をしてくれ、そうすれば分かるはずだ。』
なんで私がこんな会話をこの土壇場(どたんば)になってまで、しなしなくちゃならないんだ?あのホソダレメのオウム野郎、連絡してなかったのか?それとも本当はまだ稟議が下りてねえんじゃ・・・・、私をそこまで心配させるアンチキショウのホソダレメのオウム野郎が憎らしくてしょうがなかった。

勿論、私もホソダレメのオウム野郎に電話する、居留守使って出なかったらドタマカチワッタル!!

続く・・・。

約1年間にも渡り、私を悩み続けさせた車の故障、          フィリピン自動車修理工場のダマシやズルの実態を
その故障発見から修理完了までの長い道のりは、          全てさらけ出した貴重な実体験記録、涙と笑いで綴った
常に付きまとうフィリピンならではの大ジレンマと           一大悲喜劇 『エッペのケツ』騒動記 新連載開始しました。
戦い続けなければならない長く苦しいものでした。
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