連載手記『エッペのケツ』騒動記二三
第三章 エ〜エ!ウッソだ〜!!フィリピン何処もかしこも疑念の渦
その15 問題山積、どう切り抜ける? その16 迷路の双六ゲーム

今日の新たな登場人物、は無しで御座います。
今日はフィリピンの魚河岸の2回目、いよいよ中に入ります。写真クリックで拡大します




その15 問題山積、どう切り抜ける?

長期戦と腹を括(くく)ったが、エッペを出す事にも、そのままフォードに預けて置くのにも、リスクが伴う抜き差しならない状況に置かれて居る事には変わりは無い。
何としても打開策を見付けなければ、今の状況はフォードの言い成りである、しかしサニーにこれ以上悪感情を持たせるのはまずい、強行に出れば殻(から)を閉じてしまう、出来ればこっちに引っ張りこみたい。

必ず近い内に会う事に成る筈(はず)である、その時どう操(あやつ)るかだが、上手く私のペースに乗せられるか否か。 古いバケットはもう取り替えないだろうが、これはサニーの失敗であるはずのバケット交換は、フォード内部では私のオーダーにすり替えたのは容易に想像できる。

まず1週間待ってみよう、それから電話で様子を覗(うかが)ってから次の行動を決める事にした。
そして1週間があっという間に過ぎてしまい、やはりその間サニーからは連絡なしである、これがどうも気に入らない、フィリピン人は連絡をよこさない、これも日本と大きく違う点である。

特に連絡する方に利益が伴わない時にはこちらから連絡するまで、全く知らん顔である。
これがもしかしたらフィリピン流の"手"かも知れないが。
『ドラ、サニーに電話して見ろ』
『何んて言うんすか?』
『今エッペはどうなってるか聞くんだよ!決まってんだろ!』

『旦那あ、言う事たあその場その場で変けえねえでおくんなさいヨ、前めえにあっしが言ったじゃねえっすかあ、エッペが直らなきゃサニーの奴あ恥かしくって、電話が出来ネエって、その時旦那、"ドラ、良く解った"ってアッシの事誉めてたじゃねえっすか、忘れちゃったんだナア、こりゃ』

『お前めえ、そい事ったあよおく忘れねえなあ、エエッ?まあっ、あんまし誉められた事たあネエからナ、だがなドラッ、前めえは前めえ、今度だあ今度だ、ナッ、いいから電話しろい!』
『ヘイッ、解りやした、すりゃあいいんでやんしょ、すりゃあ』
『オオヨ!すりゃあいいんでい』
『ッで、何んちゅうんっすか?サニーに?』
『出たら代あれ、俺が話す』

ドラが電話を架けてサニーを呼び出している、"又居留守か?"っと思っていたらサニーが出た、ドラと代わって私は
『サニーの旦那、その後全く連絡くんねえな、どう成ってんだか心配ぺえでオチオチ夜も寝れねえや、いってえどう成ってんでい、俺のエッペあ?』
『いやあ、まだ結論が出ていないので御座る』
『所でサニーの旦那ヨッ、この前めえ聞いた事ったが、も一回けえ聞くよ?いいか?』
『何で御座るか?』

『バケットの件だ、お前さん俺がそっちい、行った時ゃあバケットがケツ落ちの原因じゃネエ事お認めたな?』
『いや!・・・それは・・実はで御座る、バケットも穴が開いていたので御座る、それ故交換したので御座るが・・・』
『って事あ、他にも故障箇所があって、故障は偶然ダブルだったとでも言うのか?』
『っと言う事に成るで御座る』
ここで切れそうに成った。

実際にこう言われたのである、良くもずうずうしくそんな事が言えたもんだ、っと思ってもバケットが壊れていなかった証拠はもう無い、イヤ有ったとしても無いも同然、キリか何かで1箇所ズブリとやって置けば逆の証拠に早代わりだ。 こんな事フィリピンじゃ極々普通の事、証拠の隠滅(いんめつ)や捏造(捏造)など何の罪悪感も持たないで平然と行われる。

『サニーの旦那ヨ、ヨック考げえて見つくれ、もうそろ2ヶ月経つあ、お前めえさんとこにエッペを入れてっからよッ、金はとっくに払らって有らあ、いくら何んでもこれじゃオイラが可哀えそ過ぎやしませんかてんだ、どうでい?』
『それはyesで御座る』
『だったらもチョット何んとかカッコ付けてくんなくちゃあ、ナアッ、サニーの旦那』

『解り申した、必ず故障箇所が判明しだい連絡するで御座る』
『その言葉、信用していいんだな?サニーの旦那?』
『信用して良いで御座る』
『ヨシッ、待ってやる!絶対てえ連絡しろよ!』
『yesで御座る』

その後サニーから連絡が来たのは6月も後一日二日で終わる頃だった、その間忘れた訳では無いがセブのショップとビリアモルのショップに同時期に問題が発生していた。

先ずセブの問題はラホッグに有るキャンプLapuLapuが移転縮小の為閉鎖せざるを得なく成った、又ビリアモルでは新ドライビングレンジにショップを移転するかどうかの決定もしなければ成らない時期に来ていた。

その問題をどうするかで頭がイッパイでエッペの事を追っかけてる暇がなかった。
セブの2店舗同時閉店は辛い、何とか他に移転先を見付けなければならない、それには自分でセブに行かなければ店舗は探せない、こればかりは他の者に任せられない。

サニーからの電話が有ったのは私がそんな問題に取り組んでいる真っ最中の時であった。
『comecome殿、原因が解ったで御座る』
『何が原因だったんだ?』

そしてサニーの言った言葉は私を困惑させるのには十分過ぎる言葉であった。

フィリピンの魚河岸の取り合えず今回はこれが最後です。いつものように写真クリックで拡大します。



その16 迷路の双六ゲーム。


長らくご愛読頂き真に有難う御座います、『エッペのケツ』騒動記もヤット先が見えて来ました、あと少しで完結となります。

さてと、やっと先が見えて来た、と言ってもまだ、二山三山は越えなければ成らない山がある、そしてその最初の山が来た、サニーはこう言った
『ポンプが原因で御座る』
これには私も驚いたっと言うより、"ウッソダ〜!!"である、又振り出しに戻った、もう何回目だ???。

『冗談だろう?』その時思わず口から出た言葉は日本語であった、アアッ、やっぱり私は生粋のネイティブ・ジャパニーズだった、っとそんな事をこの忙しい時に感心して居る訳は無いのである。
初めてエッペのケツ落ちを発見してからもう10ヶ月も経った、そして今又振り出しに戻された。

双六ゲームには必ず上がりが有る、そして一番に上がった者にはご褒美(ほうび)が貰えると決まっている。
そしてその上がりが目に見えているからよだれを垂らしながら一生懸命サイを振る、1つ戻されても、2つ戻されても、例え振り出しのに戻されても、上がりが有る事が判っているから楽しみがある。

チョットずるして一個余計に進んだりして・・・・、しかし現実の双六ゲームはどうだ?上がりが見えてないのにサイを振らなければ成らない、しかも上がっても誰もご褒美などくれやしない。
後戻りしては又見えない上がりに向かってサイを振らなければならない、そして振るタンビに金が出て行く、もうこんな双六ゲームはヤーダーッ!っと言いたくとも言えない半強制的なゲームに挑んでいる。

いや、私は挑みたくなんか無いのである、挑まされているっと言った方が正しい、ジャッ、誰に?・・・そうだ!誰にだ?坊さんにか?・・・違うなあ、・・・誰もいないねえ・・・強いて言えばフィリピンにッ、だな。
そう考えると何だかこりゃあ、とんでもない双六ゲームに迷い込んだものである。

今までの事が走馬灯(そうまとう)の様に頭を駆け巡った、最初にドラの友達に診せ、次にキョンシーが現れ異国人工場に入れ、そこでポンプをキョンシーに壊された。
その間エミさんの盲腸も修理したが、修理した病院は酷い、いや恐ろしい病院だった、もうこれは車の修理工場なんて全く目ジャナイ程悪質極まる病院だった。

トラモのオヤジに助けられて、異国人工場から無事エッペを出し、ポンプを新品と交換後、原因はリレースウィッチだと言う事が判明した、エッペのケツは一時直ったかの様に見えた。
そして2ヶ月も経たない内にまたケツオチが始まった、今度はメーカーだっと思って出したのが今のポート・ボニファシオのフォードである、バケットの穴開きだと診断され、交換を承諾、修理が終わって戻って来た次の日、エッペは又ケツを落とした。

フォードとスッタモンダでもう4ヶ月、そして今日、言う事に事欠いて、かどうかは兎にも角にもポンプの故障だと言う、何度目かの振り出しに又戻らされてしまった。
この時私はこのエッペのケツオチ、堂々巡りの果てはいったい何所へ連れて行かれるのか大きな不安に襲われていた。

『サニーの旦那、もう一回けえ聞くけど、ケツオチの原因は何んだって?』
今度はタガログで聞いた、
『ポンプが原因で御座る』
『お前えさんねえ、サニーの旦那!、よっく聞けよ!貴方んたあ、今までの経緯(いきさつ)を知らねえからポンプが故障の原因だなんて簡単に言うがネ!こっつら長げえ間、涙無しにゃあ語れねえ程、エッペのケツ落ちたあ付き合って来てんだ、長げえったってハンパな長さじゃねえぞ!ビックリすんなあ!コンチキショウ!もうそろ1年だ!!どうだ!ビックリしたか?』

『ビックリしたで御座る』
『何んでえ!ちっともビックリしてねえじゃねえか、ビックリするってえのはな、もっと、コウッ、メンタマヒンムイテ、電話じゃ見えねえけど、ナッ!、ギャーッ、とか、ドエエッ、とか言うもんだ、お前めえさのはそりゃビックリ何んてしてねえや!』

こんな事を電話で息巻(いきま)いても仕方が無いのである、しかし私のその時の頭の中は灰色に染まっていた、真っ白に成っていた訳では無いが正常でも無かった、だから灰色。
近い内にフォードへ行く事に決めた。 電話を切ってから考えた、まさかポンプが故障原因と言われるとは思っても居なかった、もしかしたら異国人工場の再現か?っと疑うのが極自然である。

有名な会社だからフォードだからと言ってフィリピン流部品交換はしないなんて思っていたら、とんでも無い思い違いだ。 現にバケットは故意不注意に関わらず交換されちゃって、その後私のオーダーにすり替えられてしまった、これは我慢して今黙っているが、私には一つの考えがあった。
ポンプは交換して1年も経っていない、だから故障しないと言う保証は無いが、それじゃああんまりにも酷すぎる、そんな事考えたくも無い。

考えれば考える程疑惑の念が速射砲(そくしゃほう)の様に湧いて出る。
私はフィリピンに永く居過ぎたかも知れない。
疑心暗鬼(ぎしんあんき)の塊(かたまり)と成っていたその時の私、しかし前回フォードへ行った時は勢いだけで突っ走ってしまい、思い直して帰ってきた経験が有る。

今度はジックリ作戦を立てて乗り込む。
材料は揃っている、時期も熟した、そして今回は自信も有る。

続く・・・。

約1年間にも渡り、私を悩み続けさせた車の故障、          フィリピン自動車修理工場のダマシやズルの実態を
その故障発見から修理完了までの長い道のりは、          全てさらけ出した貴重な実体験記録、涙と笑いで綴った
常に付きまとうフィリピンならではの大ジレンマと           一大悲喜劇 『エッペのケツ』騒動記 新連載開始しました。
戦い続けなければならない長く苦しいものでした。
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