連載手記『エッペのケツ』騒動記十八
第三章 エ〜エ!ウッソだ〜!!フィリピン何処もかしこも疑念の渦
その5 新GM誕生 その6 裏切り者!

今日の新たな登場人物。
登場人物をクリックすると自己紹介します。



その5 新GM誕生。

ビリアモルG・C内の主な施設、写真クリックで拡大。

もっと詳しく知りたい方はクリック



その年の12月に入ってからもエッペのケツは順調だった、っと言うより私はエッペのケツが落ちていた事など、もう忘れてしまっていた。
しかしその間GM交代劇は全く予想もしなかった方向へ進んでいたのでした、サブ・マネージャーは私の良く知ってるケルネル・ノラスコ氏の実弟に決まっている。

一寸横道に・・・・。
フィリピンではColonel(大佐又は佐官全て)の事をケルネルとはっきり発音します、そしてもう1つKernel(核)の事も勿論ケルネルです、英語の発音はkэ':( r)nl(カーネル)に近いですがこの発音記号はColonelと全く一緒です、フィリピン英語はRを強調します、でもColoneにはRが入っていません、しかし発音はやっぱりケルネルなんです。

フィリピン人がケルネルっと言ったら、少佐、中佐、大佐、この佐官の事を言っているんです。
こんな事覚えても役に立たないか???。

ある日の朝、今日のティーチングは夜だけなのでDVDやPC、アンプの修理に取り掛かっていた、そんな時ドラが私の部屋へ入って来た、『オオ!やってんねえ、旦那、しかし趣味ったってこんなに買い集める事たあねえと思うがねえあっしあ、これじゃ店が2件も出来ちゃう、旦那も凝り性だねえ』
『おうっ、ドラ、今日は夜だけだ、ティーチングあ、それまでお前めえに用はねえや、何んかアンなら済まして来い』

『いやね旦那、最近やけにビリアモルがワサワサしてんなあ、ありゃどうしてっすかい?』
『ドラお前めえも解るか?・・・・実あな、GMが今年イッペエで交代すんのよ』
『するってえと、旦那とお友達の今のGMは止めちゃうんですかい?』
『そいこった』
『こんだあ、誰が来んですGMに』

『それなんだ、問題えは、まだハッキリたあ解んねえ、サブは解ってる、俺も良く知ってるケルネル・ノラスコさん、彼の弟だとよ、こいつあ俺も知った人じゃネエが』

ケルネル・ノラスコ氏は身長180cm以上、体重は100kgを大きく上回っている、大男だが本当に気のやさしい人、プロの皆んなを可愛がる、彼の弟さんは私の事を知っていると言うが、私は知らない、顔を見れば解るかも知れないが、ケルネル・ノラスコ氏のバカデカイ家へは招待されて2度行った事が有る、20人程座れる、小さな映画館、本格的なシアター・ルームが有ったのには驚いた。

『旦那、どうしてもアッシにゃあ解せねえんっすが、GMが代わるっくれエでなんで皆んな目くじら立ててんすか?』
『そうよな、お前めえには解んネエだろうなあ、簡単に言やあ、ビリアモル国の法律が変わっちゃうってトコだ』
『ってこたア、今度のGMは法律家かあ、そりゃあテエヘンだ』
『やっと解ったか、・・ナッ、テエヘンだろ?』

そして肝心のGMの正体が噂では浮かんでいる、しかしまだはっきりとした確実性の有る話では無い、その話によると、今度のGMは全くゴルフの知らない人が来ると言うが、私には到底信じらる事では無かった。
チアマンならゴルフを全く知らない人が成っても理解できる、ゴルフ場以外の厚生施設はたくさん有るし、その全てに精通している人などいる訳が無いからである、しかしゴルフ場のGMを決めるのに全くゴルフをした事のない人が果たしてゴルフ場を運営して行けるだろうか?これは大いに疑問である。

勿論サブも居る、ゴルフに精通したとまでは行かないにしろ、スタッフも居るにはいる、だからトップは何も知らなくて良い等と言う事には成らない、いかにもそれでは出鱈目(でたらめ)で乱暴過ぎる、もしこれが事実だとしたら、ビリアモル50年の歴史始まって以来の珍事と成る。

私はそんなバカげた話は全く信じなかった、チアマンがゴルフを知らない人だからと言うだけで出て来た、唯の噂に間違いないと思って相手にもしなかった。
しかしGMの交代は新年の1日が通例(以前3月の場合も有った)、12月に入ってからまだGMが我々に判らない等と言う事は今までの記憶には無い、ゴルフ場関係の人達はプロを始としてに、キャディー、アンブレラ・ガール、ティーボーイ、これだけの合計人数500人以上に成る。 その他グリーン・キーパー、レストラン、ホテル、プール等様々な人が働いている、総人数で約800名の大所帯である、その全ての人の今一番の感心事が新GMは誰が来る、である。

サブ・マネージャーで来るノラスコ氏の弟は勿論新GMが誰かは知っているはず、しかし彼は現役の軍人、絶対に教える等有り得ない、トップ・シークレットに例外はない、私は親友のジェネラ・ホヤに電話してみた。

『しかし旦那はジェネラルをイッペエ知ってんねえ、そんなに偉えのバッカリじゃあ、付き合いもテーヘンだね!』
『なんで?・・・なんでテーヘンなんだ?』
『そりゃあ、何たって盆暮れの付届けや、家族の誕生日、息子の卒業祝いや就職祝い、結婚式に、誕生祝、それから葬式とか・・・・』
『もうネエのか?』
『エ〜ッ、まだやるんすかア?そりゃあやり過ぎっすよ、勿体ネエヤア』

『ッテヤンデエ、俺らあそんな事あやった事なんかネエヨ、昔しゃあ本人の昇進祝いくれエはやったがな、お前めえの考げえてる付き合ええと、付き合ええ方が違うんだよ、商売相手じゃねえんだよ、友達だよ、良く考げえてみろ』

ジェネラ・ホヤとはもう20年来の付き合いでまだ彼が軍曹の頃からの友人である、つい去年現役を定年退職したばかり、ジェネラルと言えば軍隊の中ではトップ、もう神様に近い存在、大将、中将、少将を総してジェネラルと呼ぶ。
例外が無ければフィリピン軍には名誉元帥を除いて、現役大将は3〜4人、陸海空に一人ずつのはず、それぞれの大将の下に中将は3人から4人付き、少将は中将の下に2〜3人付く、現在のフィリピン総兵数はハッキリした事は判らないが、確か10万人は居ないはずである。

米国を例にとると、大将の数は総兵数約140万人に対し35人である、その割合から言ってフィリピンの大将の数は妥当な数字だとは思うが、ジェネラルの数はそれ程少ない物なのである。
ジェネラル・ホヤは引退した後でも彼の名前を呼ぶ時、ジェネラルが必ず前に付く、彼は誰からも尊敬された名ジェネラルだと皆は言う、普段温厚な彼は小柄で筋肉質、現役時代、部下を威圧するのに十分な威力を発揮した事であろう大きなギョロメと大きな口は今も健在。

彼とて軍隊に所属していた、軍の人事決定を私ごとき日本人に言う訳が無い、っと思ったらアッサリと教えてくれた。
私を信用しての事か?、はた又もう自分は現役を引退したからと思ってのことか?多分両方だったので有ろう、そして彼の言葉はとても信じられる事ではなかった。
『これはまだ他言しない方が言いと思うけれど』っと前置きをして『新GMは○○○氏、元ジェネラルで私もよく知っている、現役時代彼はバレーボール部に所属していて、ゴルフのクラブは触った事など全く無い筈だ』

噂は本当だった、もしかすると、チアマンもバレーボール出身か?。
しかしこれは困った、一体全体どう出て来るか予想も付かない、いや、当のGM本人もどうして良いか解らないのではないか?、ビリアモル創設以来の珍事が現実と成って起きてしまった、兎に角、事前に打つ手はなさそうだ、っと言う事は解った。

それから2週間も経ち、年の瀬も迫ってくる頃には新GMの名前は皆に知れ渡っていた、噂が現実に変わり、不安も又現実と成った、こうなったらノラスコ氏だけが頼りである、何とか早い内に善後策を講じたいものだが、肝心のノラスコ氏もまだ顔を見せていない様である。

とうとう何もしない内に新しい年2008年が明けてしまい、新GMの就任式が行われた、っと言っても私達には直接関係は無い、空軍が新GM誕生の時にやるいつものセレモニーである。
しかしこのセレモニーはかなり派手に行われる、空軍の音楽隊も来れば、現役のジェネラルもその席には列席する、言ってみれば昔の上司で有るから、これも当然といってしまえばそれまでだが、普通の会社では全く考えられない事である、聞くとアメリカ式だそうである。

前のGM、とはビリアモルに店を出す前からの付き合いである、私がビリアモルに出店したいと言っても頑として受け付けなかった、理由はその時、別にゴルフショップが有ったからで有る。
これは何処のゴルフ場でも暗黙の仁義で有った、それがヤット立ち退いてから、私の出店の許可が下りた、その後急速にGMとの仲も良く成り今では友達付き合いにまで発展した、GM交代はこんな時に突然降って湧いた事なので有った。

新GMの就任式から10日も過ぎた頃、色々問題が起きて来た、私の店に直接ダメージが来る事件も起りつつ有った、プロ全体に影響が及ぶ様な、新GM曰く改革も始まった、しかしその改革の主人公はGMではなかった、此処に一人の仕掛け人がGMにべったり寄り添いそれを実行した。

事も有ろうに仲間のプロの中から裏切り者が出現したのだ。

写真は左から、プロ・ライセンス、GAB・ライセンス、Villamorアクレディッテッド・ID


その6 裏切り者!


『ドラ、しかし俺あビックリしたぜ、今度だのGM、兎も角(ともかく)真面目だッ、仕事熱心で、律儀な軍人そのものだね!』
『真面目っていいやすと?』
『お前めえと反対だッ、ってこった、仕事の熱心さと来たら、お前めえの100倍だあ、毎朝必ずビリアモルの主だった施設をヒトニラミしてから、最後にドライビング・レンジに現れる』
『主だった施設・・・?』
『レストラン、とかプールとか・・・それにクラブハウス、ホテル、キャディ・ーハウス・・・そんなトコだ』
『ヒェーッ、毎朝見回るんかい?、それ全部?』
『お前めえ何んかシャッチョコダチしたって出来ねえよ!、マッ、俺にも出来ねえけんど』

私の所属するゴルフクラブは3箇所有る、Villamor G・C・C、 NavyG・C  Mactan G・C がその3箇所。 所属が3つも有るのは本当はおかしい事なのだが、店舗の関係上や、ティーチングの関係から、いつの日か3つのゴルフ場の所属と成ってしまっていた。

他のコースのシステムもVillamorのシステムも大同小異で大差など無いが、今度赴任してきたGMが取った、っと言うより、ある謀反人(むほんにん)とも言える人物が施行(しこう)した独特のシステムは、プロにとって死活に関わる問題を引き起こしてしまう結果となろうとは、GM自信も思ってもいなかったのかも知れないが、その謀反人はそうなる事を予測していた、彼が結果を解らないはずなど無いし、彼はそれが目的だった。

『GMの仕事熱心さにゃあ驚いたが、他にもう一つ驚いた事が有る』
『他にもまだ回るトコアンですかい?』
『冗談言うネエ、犬じゃあるめえし、そんなにぐるぐる回ってどうすんでイ!、今度だのGMはバレー・ボールの選手だったたあ聞いてはいたが、もう今更バレー・ボールでも有るめえ、ましてやゴルフ場にGMとして赴任(ふにん)した以上は少しはゴルフを覚える気んなんだろう、練習場でボールを打つ事ッ位れえはやんだろう。っと俺っちプロ連中は思ってた、所がドッコイ、ボールを打つ所か、クラブも触らねえいと徹底してやがる、何かゴルフに恨みでも有るんじゃねえかと勘ぐったくれえだ』

1度もゴルフクラブを握ったことの無い人が、ゴルフ場の総責任者であるGMに抜擢(ばってき)される事自体が天変地異(てんぺんちい)の出来事で有る、しかもゴルフを覚えようと言う気は全く無い。
勿論当たり前の事だが、軍人をリタイヤしたばかり、商売する事さえ無理な事なのに、全く知らない世界に全責任と全権限を持って赴任させらたのだから、いや、勿論命令ではなく彼が希望して来たのだが、ゴルフの事を少しでも知ろうとするのが自然では無いかと思うが・・・・・。

直接現場を指揮するのは指名されたGM,指名されるのは今まで100%退役軍人の、しかも最終階級は大佐以上でリタイヤした人でチアマンの元上官の場合が多い、その代わりチアマンが代わればGMも代わると言う事に成って来る場合が多い。
GMのポジションは退役軍人の天下(あまくだ)り先、しかも取って置きの特別なポジション、直属の上官だったGMがゴルフ嫌いだった事で今回の新チアマンもやはりゴルフ嫌いで、しかもゴルフを知っているGM適任者が自分の回りに居なかったと想像できる、が、もっと違った理由も勘ぐって見たくなる。

軍人の多くは直属の上官の趣味を受け継ぐようだ。
全くゴルフ音痴(おんち)のGMにはゴルフ場全体をどうコントロールして良いか、勿論解るはずが無い、そこに上手く取り入った一人のプロ(仮にAプロとしよう)が居る。
彼はGMに色々とアドバイスをするのだが、実際は自分の都合の良い方へとGMを引張って行くのが最初からの狙い。そして彼はとうとうGMへの取り入を成功させ、実権を握った、イヤ握ったと勘違いした、彼は彼自信をも含むプロに対するゴルフ場のシステムまで大きく変えてしまった。

プロがVillamorでティーチング行為をするのには3つのライセンスが必要である、
写真左 PGAライセンス、(Professional Golfers Association)通称プロライセンス(プロ協会発行)
写真中 興行許可証(Games and Amusements Board)通称GAB(ガブ)ライセンス(政府発行)ゴルフのトーナメントに出場すると言う事は、プロ・ボクサーがリング上で戦うのと同じ意味と見なされている、プロ・ボクサーも、プロ・バスケット選手も皆このガブ・ライセンスが必要である。
写真右 ゴルフコース所属ライセンス、通称アクレディッテド(accredited)ID。
(所属コース、又は練習場が発行) 以上が必要なライセンスでである。

今回問題に成っているのは3、のアクレディッテドIDの発行問題、今まではこのIDカードが無いと、そのプロはコース所属のプロとは認められず、数々有る特典も与えられなかった、その主な特典とは。
特典1、グリーンフィー特典(150ペソ)通常1200ペソ
特典2、練習ボール特典(1日5箱まで無料、それ以上は通常の50%引き)通常1箱40球30ペソ
特典3、レッスン希望者へのプロ紹介(これは順番待ち)練習場がその順番を管理している。
特典4、クラブ主催の大会への参加。
特典5、キャディー無しラウンド(通常は必ずキャディーをつけなければ成らない)この特典はとても大きな特典で超貧困プロにとってはとても嬉しい特典。
特典6、Villiamorプロゴルファー協会への加盟、これにより所属が認められる。

今回これ加えてとんでもない条項が付いた、それが次の特典7である、これはプロの死活問題に発展したとんでもない、全く特典と言えるものではなかった。
特典7、Villiamor G・C・C においてティーチング行為が出来る。

一見なんでも無く当たり前の様な、プロに取っては特典に聞こえるが、これが実は大変な事なのである。
今までこの特典7が無い時はプロならば誰でもティーチングする事が出来たが、これからは全てアクレディッテドIDを持たない者、言いかえればVGC(Villiamor GolfClub)メンバーで無い者はティーチング行為が出来ない事に成る。

現在(2008年1月)Villiamor G・C・Cでティーチングを生活の糧(かて)にしているプロは約30人、その内VGCメンバーはわずか10人足らずしか居ない。

ではこんなに特典が付いているのだからVGCメンバーに成った方が得では無いかとお思いがちで有る。

しかしこれにはそうとも言えない深い、深い、とても悲しい事情が有る。

続く・・・・。

約1年間にも渡り、私を悩み続けさせた車の故障、          フィリピン自動車修理工場のダマシやズルの実態を
その故障発見から修理完了までの長い道のりは、          全てさらけ出した貴重な実体験記録、涙と笑いで綴った
常に付きまとうフィリピンならではの大ジレンマと           一大悲喜劇 『エッペのケツ』騒動記 新連載開始しました。
戦い続けなければならない長く苦しいものでした。
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