連載手記『エッペのケツ』騒動記十二
第二章 エ〜エ!ウッソだ〜!!フィリピンの実像と疑惑
その10 見逃した千載一遇のチャンス! その11 計略はたてたものの・・・・

今日の新たな登場人物、なんだ〜、今日もいないの〜?

10、見逃した千載一隅のチャンス!



『お馬さん、お前めえさんのボスに会いてえんだが、呼んでやっちゃあくれねえか?』
『今日はボス、まだ来ていませんがア〜』
『そうかい、そんじゃあ、しゃあねえや。んなら、ここの電話番号教えチくれや、おいっ、ドラ!お前めえが控けえて置け』
こうなったら焦ってもしょうがない、作戦立てて出直したほうが良さそうだ。等と考えていたが、この時点では、その直ぐ後に又ここへ戻ってくるとは、夢にも思っていなかった。

しかしヨワッタ!、どうも今回だけはフィリピン慣れしている私にも、難しい問題である。
バケットの写真は撮ってあった、前後、左右、上下隈なく撮ってある、しかしまさかポンプに話を持って行かれるとは思いも寄らなかった、部品を取り替えたと言う証拠はないし、アームが折れていなかった証拠も無い。
唯一ツッパレる事は、ここへ入れた時にエッペのケツは上がる状態だった事の証明だが、周りに正直者・・・、いや、私の味方をしてくれる者が出て来る事は全く期待できない、鼻薬の値踏みをして見た。

もし『エッペのケツは上がっていた』、っと証言すると言う奴がいたとしたら、後で間違いなくそいつはここに居られなくなるから、その保証金を出してやらなければ成らない、まあ普通で給料の3か月分が妥当で有ろう、1ヶ月1万ペソとして3万ペソ、駄目だ!もうこれで修理代より高くなっちゃう。

何か良い手は・・・・・・・・、チョット待てよ!この手は使えるかな?しかし、もしこっちの読みが外れたらどうなる?
『アアそうですか?そりゃごめんなさいネ!』っで済むか?むむむんん・・・・、済むネ!いや済ましちゃおう。
もし済まなくっても何か困る事は有るか?むむんんん・・・・・・、無いッ!、だろう・・・。

準備はどうする?エバスタに行ってみるか?そうしよう!。 一体全体私は何を企んでいると思いますか?ヒントは『鎌掛けの術』を使おうとしているんです、答えはもう少し後で・・・・。
『おいッ、ドラ!電話番号は控けえたか?、良し、そんなら後で連絡する事にして、一旦引き上げだ。』
エミさんの術後がどう成ったかも心配だった、話はもう出来るだろか?アレから1時間以上経ってるから大丈夫だろう、そんな事を考えながらドラに病院へ行く様に言った。

病院に着いて、入院している部屋を聞いて、
『どんな部屋だ?その部屋は?』
受付のオバチャンは『スイートルームで御座います』
何んて事たあ言わないが、手術の前金を払う時に、手術後は一番上等な部屋へ移せっと言って有った。

エミさんはまだベッドで眠っていると言う、全身麻酔で手術したのか?そうだろうなあ、じゃあ暫らくは寝てるだろうから、先にエバスタへ行ってみるか。
『ドラ、エバスタに行くぞ。』
『旦那あ、バケットじゃねえんですよ、故障は、それとも何んですかい?今度だあ、ポンプ買いに行くんですかい?』
『まあっ、そんな所よ!、所でドラ、お前めえはどう思う?今度の一件を?』

『何がですかい?』
『何がって、お前めえ解んねえのか?俺の言いてえ事が?不思議に思わねえか?って聞いてるんだよ』
『何んか不思議な事が有りますかい?』
『だって、考げえてみろ!工場に入れた時はエッペのケツは上がってたろう?』
『そうですよ、今更言わなくたって、エンジン掛けりゃチャント上がっていたのを旦那だって知ってるはずだし、キョンシーも見てらあ』
『それがどうして今は上がらねえんだ?』

『旦那あ、本当にでえ丈夫ですかい?、さっき見たばっかりじゃないですか?もう忘れちゃったのかね、この人たあ、年は取りたくないね、全く。あのねっ、ポンプに空気を送るモーターって奴が有ったでショ?その中のオ、アームがネ、折れちゃったの、解かりやしたか?』

ダメダ!こいつにこんな事聞くんじゃなかった、しかし、こいつより他に誰もいねえからねえ、話す奴つあ。
『解った、俺が悪かった!アームがおれて・・・・・』ここまで言い掛けて、急に思い出した事に『シマッタッ!でえ失敗をしたかも知れねえ!』思わず日本語が出た。

しょうがねえ!『ドラ、急いで修理工場へ引き返せ!。』
『旦那!もう目と鼻の先ですよ!エバスタ!』
『うるせえッ!てめえは俺の言う通りに動けば良いんだ!つべこべぬかさネエデ早く戻れ!』
『なんだい?今度あヒステリーかい?年ア取りたくねえな、ったく!』

私は修理工場へ戻る途中祈り続けた、
『何とか余計な事をしないでいて欲しい、私が行くまで待ってて欲しい』、とそればかり。 そして、私は何んとマヌケなんだ、千載一遇のチャンスを逃したかも知れない!チキショウ!っと自分を責めた。

『ドラ!早くしろ!ノロマ!』 工場へ着くなり、駐車しようとしているスペゴンから飛び降りた私は、急いでエッペの所へ駆け出した、そしてエッペを見て地団駄を踏んで悔しがった、期待していたポンプはすっかり元に戻されていた、馬面の手際の良さが憎らしかった、どうするもう一回ばらさせるか?・・・・、しかし待てよ?今からではもう遅い、言い訳の口実が出来上がってしまった。

私の考えていた事はこうで有った、馬面がさっきポンプを取り出してモーターまで分解した、そして折れたアームを見せられた、その時に気付かなければならなかった大事な事が有る、折れた片割れはどこへ行った?モーターを分解したなら中に無ければいけない、しかしそれは無かった、私はその時分解している馬面の速さに圧倒され、その速さを疑う事ばかり考えていた、肝心要な事を見逃した。

『馬面!何んで元に戻した!どうせ取り替えるなら、ばらしたままで良いじゃねえか?』
『取り替えるんですか〜、ポンプ?、さっき幾らだ〜、って聞いて取り替えるとは言わなかったですよ〜』
『もうイイッ!ボスあ来たか!ボスあ!』
『未だですよ〜』
『ああっ、しまった事しちゃったなあ、何んて俺はバカなんだ、ホントに年取るのは嫌だなア』

そんな独り言を言いながら、スペゴンに乗って『何グズグズしてやんでいッ!早ええとこエバスタへ戻れっ!』
っとドラに八つ当たりをした所で腹の虫は治まらなかった。


11、計略はたてたものの・・・・
エバンゲリスタに有るお店、クリックで拡大



”「後悔先に立たず」とはよく言うが、昔の人は上手めえ事を言ったもんだ、が、何度聞いても面白くねえ言葉だ!、あんなチャンスは二度と巡って来ねえだろうネア・・・ああっ、チキショウ!残念な事をした!。"
等と諦めの悪い私はエバスタに向かうスペゴンの中でもウジウジとしていた。
『旦那!、どこへ行くんスカ?、もうエバスタッすよ、コカア』

『ドラ、お前めえが前にバケットを探しに来た時、何軒ぐれえの店エ回った?』
『そうッスねえ・・・10件ぐれえは回ったと思いやすヨ』
『そんで、何軒くれえの店にバケットは置いて有った?』
『在庫で置いて有る店なんて1件も無かったッスヨ〜!大体あんなバケット見てえなモン、壊すようなオッチョコチョイはそんなに沢山は居ませんヤア!そうッしょっ、旦那!』

『うっせえなア!悪かったなア!オッチョコチョイで、じゃあ聞くが、てめえは何ん何んでい!』
『アレッ、旦那、バケット壊したんスかい?ヤダネえ、モウロクしちゃって、だから年ャ・・・』
『ッるせんだよ!てめえは!バケットじゃネエヨ、チョット間違っただけだ!おうッ、ドラ公!だからってポンプだって壊しちゃいねえぞ!俺らあ、勘違えスンナヨ!』

『ハイハイ、私が壊したんでゴゼーヤス、旦さんではゴゼーやせん』
『こんニャロウ!やな野郎だぜッタク、もういいから!バケットの取り寄せが効くって言った所を片っ端から回れッ!・・・・・イヤッ、チョット待て、んん・・・・今考げえるから・・・・・』
私は勿論バケットを探しに着たのではない、っと言ってポンプを買いに来たのでもない、目的は3つ有った、一つだけならドラでも何とかなるが、3つ所か2つだって危ない、きっと2度手間、3度手間では収まらない。

まず一つ目は修理が出来る所、昔は部品ごとそっくり交換!、何んて、よっぽどの事が無い限りしなかった、歯車1つだって何とか見つけて来たものだ、それがエバスタの他と違う所、ここに来れば何だって揃い、何だって直っちゃうっと評判だった。

あんなアームが壊れた位で、全取っ替え何んかする事を今の連中は、当り前に思っているのか、メーカーが仕掛けた事なのか、いや!、世のため人のために有るはずの修理工場が、何とか客から金を踏んだくろう、って考えての事なのか、それとも全部当りなのか・・・・。 兎に角これだけ店や修理やが有るんだから、必ずどこかで直せるはずだ。

もう一つは中古がないかどうかだ、しかしこれは望みが薄い、日本車の部品ならおそらく揃(そろ)わ無い物は無い、っと言って差し支え無いだろうが、フォードのエッペでまだ4年落ちの部品だと期待は出来ない、しかしこれが無いとすると、次の目的は難しく成る、ポンプ周りの部品の写真を撮ろうと考えている、それが今度の私の企みの主役と成る。

確かめて見る必要は有るが、部品ごとには必ずっと言って良い程、シリアルナンバーが有る、小さい部品には付いていないで有ろうが、アレだけのまとまった部品で金額も安くない、いつ、どこの工場で製造されたか、そしてそれは何台目の製品か、などである、ハードディスクやDVDドライブにも付いているあれである。

さっき修理工場で馬面がポンプのモーターをバラしている時、何の気なしに見たらそれらしき物が確かに書いて有ったのを、この目で見た。
それを思い出しての作戦であった。 もしこのシリアルナンバーの写真が撮れれば、修理工場へこれが私のポンプの番号、今エッペに着いているポンプは、私のポンプじゃない、っと鎌を掛けて啖呵を切る積りである。

しかし色々なズルイ手が有る、部品をわざと壊す、修理中に誤って部品を壊してしまった、そして『フィリピン流部品交換の術』、まだ考えられる手は有るが、代表的なのはこの三つ、その内の『フィリピン流部品交換の術』これ以外には『鎌掛けの術』には効果が無いが、術には術で対抗する、しかしこれが一番可能性が強い、何故かと言えば、もし私が修理工場の人間だったら、正常な部品、しかも3万ペソもする部品をわざと壊す事が出来るだろうか?っと考えた時。 ヤッパリ出来ないっと思った。

残るは間違って壊したか、部品交換だが、間違って壊すにしては妙な場所である、ポンプのモーター、しかもその又の中の部品である、部品を見るとボッキリと折れていた、間違ってアンナに折れてしまう物だろうか?っと考えた時、これにも無理が有る様に感じた、そこで残る手は部品交換しか無いっと言う結論に達したので、この企てを思いついた、っと言う訳である。

ッとすれば、あのポンプは別のエッペの物である、シリアルナンバーはキット私のエッペと違っている、工場側に後ろめたい所が有れば、何か変化が起きる、本当の私のエッペのシリアルナンバーではないが、そこは写真を加工して、何とか誤魔化せる物を作る自信が有る。

しかし間違って折ってしまったのなら、この『鎌掛けの術』は全く効かないその時は前出の、 もしこっちの読みが外れたらどうなる?『アアそうですか?そりゃごめんなさいネ!』っで済むか?むむむんん・・・・、済むネ!いや済ましちゃおう。もし済まなくっても何か困る事は有るか?むむんんん・・・・・・、無いッ!、だろう・・・。

これである、もし、『部品交換の術』で無くとも相手には間違って、又はわざと、アームを折ってしまった弱みはどんな時でも付きまとうから、そんなに追求はして来ない、っと読んだ。

『ドラッ、これからスペゴンを置いて歩いて探す、お前めえが探すもなあ修理屋だ、・・・・いいかッ、ヨック聞け、お前めえはこれから、ポンプのモーターに付いてた、折れたアームの、修理が出来る所を探せ!解ったかッ!』
『でも、修理工場じゃ修理じゃなくて、ソートッカエだってキリンの首が言ってたの聞かなかったんすカイ?』
『なんでい!そのキリンの首ってのは?』

『だって、旦那!めえにアッシが馬面って言ったら馬が怒るぞ!って言ったじゃないッスカ、アッシはその事だけを、今日一日、ズ〜〜〜ット、考げえていたんでゲス、馬じゃ足んねえ、もっと長えのは何んだ?って、どうです?なかなかでヤンショ?』
『おいっ、ドラ!今俺がどんな気持でいるか解らねえだろう?・・・・・大の大人だ!、みっともねえから、泣きゃあしねえけど、ほんッッッッッっとは泣きてえんだよ!なッ、いいかドラッ?お前めえの天然ボケは今更始まった事じゃねえ、生れ着きだって事もヨ〜ク解ってる、なッ、オイッ、・・・オイッ、聞いてんのかドラ?』
『聞いてやすよ、チャント』

『お前めえと同じく、俺も真剣に今日一日考げえてた事が有るんだ、なッドラ、今日はおめと俺はず〜っと一緒だったなあ、だから同じ事やってた、そうだよなあドラ、・・・・しかし、お前めえと俺はこんなにも考げえに、でっけえ差が有るとは思いも寄らなかったヨ。・・・・・あ〜あ、俺にもて前めえの天然ボケを、ほんのチョットだけ、分けて欲しいくれえだ、そうすりゃこんなに苦労しなくても済むかも知んねエ』
『よして下さいよ旦那!くすぐってえヤ!、ッんな事いわれちゃ、解りましたヨオ、アームが直せる修理屋を探しゃあ良いんでしょッ?』
『そうだッ、流石に物分りはハエエや、一個の事なら、そしてもし出来るってトコが有ったらミスコールしろ、解ったか?』

さあ!頑張って見つけて来いよ!天然ボケ!


続く・・・・。

約1年間にも渡り、私を悩み続けさせた車の故障、          フィリピン自動車修理工場のダマシやズルの実態を
その故障発見から修理完了までの長い道のりは、          全てさらけ出した貴重な実体験記録、涙と笑いで綴った
常に付きまとうフィリピンならではの大ジレンマと           一大悲喜劇 『エッペのケツ』騒動記 新連載開始しました。
戦い続けなければならない長く苦しいものでした。
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