写真番号G
ベランダから下の「あぜ道宴会場」
が有った場所を写す
ベントイ
写真番号M
「あぜ道」の角
から見上げた
3階のベランダ
勇敢者
豪腕者
豪腕者
写真番号D
あそこの屋上から
カッツアンは見張られていた
写真番号@チョイ広通りから見た
エアーポート通り
写真番号H
部屋の中から馬鹿ヤマスが
小便をした場所を写す
右側の窓からドドン達は進入しようとした
その時ガラスはメチャメチャだった、
写真番号I
部屋2から見た「あぜ道」
遠くに「チョイ広通り」が見える、ん・・?
ドドンはもうあの世の人
ドドンにベンチを投付け
られたドドンの姉さん
写真番号K
あぜ道宴会場から見た3階のベランダ
ただの傍観者
写真番号A
チョイ広通り、この奥
に「あぜ道」が有る
ボーイ
ジェルネル
管理人
二枚目
主な登場人物
黄色い屋根の付いた自転車みたい
なのはフィリピン人が自動車でも
無いのにサイドカー呼んでいる
乗り物で自転車の横に幌付きの
客乗せ箱が付いている、近所だけ
行き来する乗り物で一回¥15位
その1 自慢じゃあねぇがスラムゲェ(街)
悪役
その2 事件現場のシチュエーション
その3 絶対ぇ絶命
その4 泣き虫パレの度胸
その6 パレの功名
写真番号B
チョイ広通りから見た「あぜ道」
写真番号E
これが事件の起きたベランダ
狭く見えるが結構広い
写真番号F
ここからヤマスは小便をした
大バカモノメ!!
写真番号J
「あぜ道宴会場」が有った場所
右上が我が家のベランダ
この界隈(かいわい)
の縮小図
 「こりゃぁ飛んでもねえ事に成りゃがってぇ!!
いってぇどうすりゃぁいいんでぇ。俺ぁ一瞬逃げ場ぁ探した、探したって何処
にもありゃしねぇ、解っちゃいるけんどヤッパリ探した。何んたって酒の勢い
も一緒ん成って大声げぇ上げなんらぁ5,6人の男が上がって来やある、

手にゃぁ皆んなギラリを握ってらぁ、中の一番でけぇやつぁただのギラリじゃ
あねぇぞ、日本刀だ!、これにゃぁ流石の俺様もぶったまげた!。」
「そりゃぁてぇへんだ!!逃げなきゃあ殺されっちまうぜ、どうすんだぃ
カッツアン?。」 

 「ヨッチャン、おめえって奴はつくづく冗談がへたくそな野郎だね、こらぁ小説
や作り話何かじゃあねぇんだよ、俺ぁ今おめぇと話してんじゃねぇか、それと
も何んかい、その時殺されてりゃぁ良かったとでも言うんか?
えっ、コバンザメ!!」
 「そりゃあ困らぁ!カッツアンが殺されちまったら面白れぇ話も聞けねえし、
何たって居候が出来ねえ。」

 「おい!ヨッチャン、おめぇさんとは永げえ付きえぇだったがそろそろ終わり
にしようか?えっ!どうでぇ。」
 「そんなに怒んなよ、俺が悪かった、頼むから気分直して先を続けてくんねぇ
もうちゃらかさねぇかさ。」

 「俺っちがその時住んでたとかぁスクウォーターじゃあねぇがスラムげぇの
ど真ん中よ、自慢じゃねえがタクシー何んかこの一角にゃぁ絶対ぇへえって
来てくんねぇようなとこおだ。

スラムげぇってのはスクウォーターと違って土地を不法占拠してる訳じゃあねぇ
スクウォーターにゃぁ家なんてしゃれた物はねえ、みかん箱をちょっくら大っきく
した様な箱が出鱈目に密集しているってなぐえぇだが、ここぁ家らしい物んも有
るのがスクウォーターよりチョットましっ位れぇな場所ぅよ。

ヨッチャン又何んか言いたそうだねぇ、わかるよぉ顔見りゃぁ、どうしてそんなと
こに住んだ・・・ってんだろ?、おぉよ、自慢じゃぁねぇがそんなとこに住む酔狂
な日本人何んてなぁ、まあ、俺様を置いてほかにゃぁいねえぇだろうな。」

 「 何かい、自慢する程の事なんかい、そこに住むってなぁ?」
 「おう!、あタボウよ!、てな嘘だ。訳きゃあ簡単さぁ、月8,000ペソの安い家
賃に釣られたのよ、日本円で2万円足らずだぁな。

退役軍人の大家が建てた、三階ぇ建てのその界隈じゃぁ結構立派なアパート
メントだ、その三階ぇ全部を借りていたって事った、日本で言やぁ3LDKベラン
ダ付ってとこだ、その上は屋上、これだって全部独り占めだぜ。」
パレ(こいつぁこの事件の後
とんでもねぇ間違ぇを起こしやがって、
チャンとした写真が有りぁせん、
ご勘弁を)
 「俺の住んでたアパートぁ細い路地が入り組んだT路地の角に有る、
チョイ広通りに続く左から来た道が突き当たって左右に別れる、それを右に折れる
道の手めぇに外階段の上がりっ口、こいつを三階ぇ迄途中踊り場が二っつ有る
つづれ折りをとんとんとんと四つ昇るてぇと俺ん家のベランダ、ベランダはL字に
成ってて左に曲がったとこぉが家の入りっ口だ。

二っつん道路に面したその結構広れぇベランダで仲間と飲んでくっちゃべっていた
時の話よ、道路ったって幅ぁ一間位ぇ、田んぼのあぜ道に毛の(生)へえたみてぇ
なもんで、やっと人がすれっ違ぇ出来るっくれぇの狭めぇ道さ、もちろん車なんか
へぇって来られっこねぇ路地奥の一角だ。

その狭めぇチョイ広通りに続くあぜ道でも現地人5,6人が宴会やってるってシチュ
エーションよ。」 
 「カッツアン、チョイト聞いていいかい?。」
 「なんでぇ!!。」
 「やだねぇ、そんな怖い顔スンナよ、そうじゃあねぇよチャチャ入れねぇってば。」
 「だからなんだよ!言ってみな!。」
 「いや〜その〜“くっちゃべってた“って、日本語かい?。」

 「なに逃げ腰なってんでぇ、ひっぱたきゃあしねぇよ。日本語なんか解るわきゃあ
ねぇじゃねぇか、現地語だよ、タガログ語、自慢じゃあねぇが日常会話っ位ぇなら
タガログ語でOKだぜ俺ぁ。」

 「何でぇ、さっきから自慢じゃあねぇが、自慢じゃあねぇが、って自慢話ばっかりし
てやがらぁ、まぁな、永年住んでりゃぁ誰だって言葉っくれぇ上手く成るってもんだ。」
 「つっかっかて来んねぇ、四の字!!。」
 「飛んでも御座ぜぇませんカッツアン殿、あっしぁ決してつっかっかて何んかおりぁ
せん、感心しているだけで御座ぜぇやす、どうぞお先を・・・。」

 「まあいいや、事ん発端(ほったん)はヤマスの野郎だ。」
 「何んで御座ぜぇやしょうか、そのヤマスってなぁ?。」
 「俺っちのめぇの専属キャディーよ、こいつが1年めぇにチョンボやらかしゃぁ
がってしばらく干してたんだ、1年経ったからまあそろそろ許してやろうか、ってんで
晴れてwグループに復帰させてやったてぇ訳よ。」

 「チョンボって、いってぇ何やらかしたんで御座ぜぇやすか?、wグループってなぁ
どっかの組と関係が有るんで御座ぜぇやしょうか?。」
 「舌っ噛む様な話し方すんねぇ!、それともやっぱりオチョクッてんのか?
ヤマスのチョンボもwグループも話せば長くなっから今度ぁゆっくり話してやるよ。

まぁ、とにかくヤマスの野郎は喜んでシコタマ呑みゃがった、正てぇが無くなる迄だ、
最後ぁとうとう眠っちめぇやがった、ヤマスをほっといて俺っち達ちゃぁはパレの
昔話に夢中ん成ってたんだ。ヨッチャン、何んか言いたそうな顔だねえ、パレの事つ
か?俺の専属キャディーだ、ヤマスの後釜だよ。ヨッチャンその時だよ飛んでもねえ
事が起こったなぁ。」
主役
「寝てぇるはずのヤマスが俺っちの後ろに立ってるじゃぁねぇか、あれ!
こん野郎いつの間に起きて来ゃがったんでぇ、って見るてぇと、何んか
もぞもぞしてたヤマスが、ビックリしたねぇヨッチャン、ベランダの下ん向
かってションベンし出しゃがった!!
てぇへんだ!!てんで、皆んなで止めたがもう遅かった。

下んあぜみち宴会場にいた現地人たちゃあ怒ったねえ、当ったりめぇだぁな、
最初は水だと思ったらしいがヤマスを見た瞬間騒ぎ出した。
こらぁ、ヤベェ事に成りゃぁがった!! 誰だってそう思ぁ。
てえ変な事に成りゃぁがった、こりゃぁ一騒動起こるぞ、と思っている間に
日本刀とギラリが昇って来たってえ有様よ。

日本刀が昇って来る外階段がたった一っつの通路、で、そのまんま俺んちの
ベランダに続いてる、って具合だ、上は屋上、逃げ場がねえ、どうすんだ、
どうすんだ!!、こんなとこで死んでたまるもんけぇ!て本気で思ったねえ
そん時きゃあ、どう成るものけぇ!!。

俺ぁ家ん中に飛び込んだ、ドアに鍵を掛けて窓に写る影に目をこらした、もう
すぐ始まるドンパチに耳ぃ澄ませてた時だ、始まったねえ“そこのションベン
野朗を出しゃがれ!!じゃぁねェとみんなぶった切るぞ!!。

”そりゃぁおめぇ、正直き○○玉が縮み上がったぁね、ありゃぁ、酔っ払って日本
刀を持った大家の倅ドドンの声だ、背ぁ185、120キロのこいつぁ恐っそろしく
力が強ぇ、その上、手に負えねえ強暴な野朗だ。

二、三ちめぇも重さ30キロも有ろうかちゅうベンチを高々と持ち上げた、それを
実の姉さんにぶん投げて大怪我をさせたのをこの目で見たばっかしだ。」
 「すげぇ!、それからどうなるんだいカッツアン?。」
 「おい!、酢漬けイカ!!。」
 「カッツアン、よせよ、そんなの解る奴あいねえぜ今頃。」
 「うっせえ!おめぇだけ解りゃあ上等だ、さっきも言ったよな、小説やテレビドラ
マじゃねえってんだこりゃぁ。

“どう成る”じゃなくて“どう成った”、だろうが、
何回けぇも言わせんじゃねぇや!!。」
 「判あった、判あった、それからどう成るんでえ・・・じゃなくてどう成ってい?。
どうでもいいじゃぁねえか、『どう成る』も『どう成った』も大した違ぇはねぇと
思うんだがなぁ、俺りゃぁ・・・。」

 「おい!何ぶつぶつ言ってやんでぇ、黙って聞いてろ!これからが山場だ!。
ドドン組ぁ5人プラス日本刀と(ナイフ)ネーフ2本、こいつぁ見ちゃぁいねぇけ
んど後から聞いた話だ。こっちゃぁ体あドドンなみだが普段気の優しい
マンドット、こいつよりチョイト小せぇが筋肉隆々軍隊崩れのボーイ、同じガ体で
話し方ぁ静かだが怒らすと怖えぇ元プロゴルファーのベントイ、背ぁ155、
50キロ、痩せっこけた俺の専属キャディーのパレ、それよりチョイト大っきい
おしゃべりバオッグのジェルネル、全員ビリアモルのキャディーだ。

この際ぇ関係ねぇがバオッグってなぁ種無しって意味だ、奴には子供がいねえ、
俺とヤマスぁ数ん成らねぇ!!、5人対ぇ5人で数は合うんだがこっちゃぁ全員
素手だ、このまんまじゃぁ皆んなブッタ切られっちまう、正直そう思った。」
 「そんじゃあみんなに包丁渡してやりゃあいいじゃあねぇか。カッツアンの家
にゃぁ包丁っくれぇあんだろうが。」

 「おぅ!おめえ人事だと思いやあって俺っちに殺し合いさせる気か?手前ぇは
そう言う了見だあら火事起こすんだ。」
 「冗談じゃねぇや、俺ぁ火元じゃあねぇぞ、もらい火でぇ。」
 「勝手にほざいてやがれ、こっちゃぁ忙しいんでぇ。  いよいよだな、って
見てぇると、最初ん昇って来たドドンに前蹴りを喰らわせた勇敢な奴がいた、
窓に映ってる影を見てびっくりしたね、あの気の優しいマンドットだよ、酔っ払っ
ていたドドン組みぁ将棋倒しで踊り場まで転げ落っこちた様だった。

するてぇとボーイとパレ、バオッグが踊り場まで降りてった、何か喚(わめ)き
合ってたと思ったら、3人はすぐ上がって来た、これ又驚いた事つにボーイの
手にゃぁドドンの日本刀が有るじゃぁねえか、いい度胸しているねぇ、あのドドン
から日本刀をぶん取って来ちゃったんだぜ。

日本刀が相手に渡っちゃぁドドン組みは一旦引き上げるっきゃねぇ、恐々ベラン
ダに出てみると下からドドン組みが真っ赤な顔して怒鳴ってる、ションベンヤマス
を出せって事った。」
 「それで戦争は終わったって訳かい?。」
 「飛んでもねぇや、終わるもんけぇ、俺っちは朝迄篭城(ろうじょう)よ、
これがあぜ道
事件が起きたのは今が07年だからもう10年前の
1997〜8年頃、あの頃に比べ皆ふけたな〜。
パレを除いて今も全員現役のキャディーです。
<<第二章『凶暴ドドンが激怒した』>>
ヤマスあ、っと見るてぇと、やっと様子が理解ぇ出来たようだが
空(うつ)ろ目はまだ取れてねぇや、一人で下へ行ってナシを付け
て来ると言い出して聞かねぇ、田舎あ同じバコロットのパレが15も
年上のヤマスを思いっきしぶん殴ったねぇ、ヤマスはやっと静か
に成った、しかし俺ぁこれからどうケツを取りゃあいいんだ、っと
思ったらとたんに気が重くなって来ゃがった。

その時突然ガシャ〜ンだ、
ドドン組みが石を投げ付けて来ゃがったんだ、ドカン、バカン、
ドシン、ズシン、んんん・・・???。」
「カッツアン、バシャンってなぁどうでぇ。」
「ってやんでぇべらぼうめ、横っ車入れるんだったらもう話すなぁ
やめた!!。」
「ちげぇよカッツアン、横っ車何かじゃぁねえよ、助け舟だぁな。」
金輪際横っから口ぃ出しゃぁがったら、絞め殺すぞ、いいか、この
すっとこどっこいっ。」
「へぇ・・・!。」

「立てっ続けぶん投げてきゃぁがる、ガラスなんかぁメチャメチャ
だ、表にゃぁ出られたもんじゃぁねぇからそのまんまジットして
るっきゃぁなあった、しばらくすっと集中砲火が治まった、投げる
もんが無く成ったんか飽きちゃったんか、まあ兎に角良かった、
っと思ってたら又上がって来ゃがる、ドドン達のわめき声がする
じゃあねぇか、とっさに俺ぁ“ヤマス!俺の部屋へ入えってろ!
入えったら静かにしてろ、絶対に出て来んな、出て来てみやがれ、
今度ぁ俺がぶっ飛ばす!“。」

 「日本刀を取られちゃった奴らぁ手に手に鉄棒、棍棒だ、ドドン
はメチャメチャになった窓に顔を近づけて怒鳴った”何処行った、
ションベン野朗をだせ、出さねぇと全員やっちまう!!”ってな事
を喚き散らしてらぁ、実際にゃあ早口出しよく解んねぇけど、まあ、
そんなとこに決まってらぁ、。

パレが何んか言い出した、どうも田舎ん言葉らしく俺にゃあさっぱ
り解らねぇ、ドドンは解る見てえだ、急にドドン組みの1人が大声
で何んか言ったかと思うと鉄棒で窓をブッ叩いた、それが引き金
ん成っちゃってほかの奴らも叩き始めた、もの凄え音だ、
俺達ちゃぁ後ろに下がって飛んで来るガラスを避けなあら見てる
きゃねえ。

 窓にゃぁ鉄格子が有る、それは壊せねえから、中に入っちゃぁ
来らんねぇ、っと高ぁ括(くく)ってた俺ぁ間違ぇだ、ヤベエっと思い始
めた本気で壊しゃがる、中ん入ぇる積りらしい、雲行が怪しく成って
来やがった、その時又パレが田舎言葉で怒鳴った、ドドンもバコロット
出身らしい、ウルセェのが収まった、何んだっと見てぇると、パレが
さっきドドンから奪い取った日本刀を出して来て構めぇてゃがる。

こりゃぁマジイ、っと思って“パレ、やめろ!!”思わず怒鳴った。
パレぁ意外ぇと落ち着いた顔をして俺にデエジョブだっとウインクだ
そしてドドンと二言三言じゃべったかと思うってぇと、窓の近くに
つかつかっと近ずいて日本刀をドドンに突きっ付けた、如何すん
だ!、するてぇと何んでぇ、ドドンがそれを受け取ったじゃぁねぇか。

パレとドドンは又田舎ん言葉だ、如何なるかって見ている俺ぁ
ドキドキだ、するてぇと、何とドドンは皆を連れて引き上げてった。」
ドドン(の姉さん)
勇敢者
写真番号C正面に見える白い建物が
カッツアンが住んでいたアパートメント
当時は屋上に建物は無かった。
ヤマス
マンドット
フィリピン江戸っ子談義
図に有る番号は写真の番号です。
左側の図は地域全体の縮小図です。
「パレ!。」
「“ボス、ドドンはどうしてもヤマスを連れて行って聞かねぇ、
しかたぁねぇから俺ぁ言った。もし入ぇって来たら日本刀でぶった切る”。
するてぇとドドンが“解った、じゃぁ今日ん所は引き上げる、引き上げるが
日本刀はけぇせ、それとヤマスは諦めねぇ”ここん所ぁ、日本刀を返ぇす
ほかぁドドンを納め様がねぇと思ったからけぇした、てぇ訳だ。

そのあと表も静かにゃぁ成ったんだがまだドドン達が見張ってると思うと、
恐っそろしくてとっても表にゃぁ出られたもんじゃあねぇ、そのまま朝迄寝
られずだ。

 俺ぁこれからどうした物んかとそればっかり考えてたよ、何んたってドドン
たぁ毎んち、いやでも顔を会わさなくちゃいけねえ、会ゃあ、おはよう、
こんちは、今晩はだけじゃあ済んめぇ、夜だって表に出てぇやな、一生家に
閉じこもってこいつらと飲んでんじゃぁ寂しすぎらぁ、と言ってションベン野朗を
渡す訳にもいかねぇし・・・・。
ヤッパ俺がドドンに詫び入れるっきゃねぇか。

そう覚悟をきめたね、しょうがねぇから、周りを見るてぇとみんな平気の
平左だ、ほかの事ん喋(しゃべ)ってやがる、憂鬱(ゆううつ)に成ってんなぁ
俺っち一人みてぇだ、大らかな野朗達だぜ全く、これが国民性って奴かね。」

 「へ〜!フィリピン人にゃぁ心配ぇ事はねぇって事つかい、カッツアン?。」
 「ってゃんでぇ、変なとこでツッコムねぇ、言葉のはずみってもんだ。
表が白々してきた頃だ“このままじゃいつ迄経っても埒(らち)ぁ開かねぇ、
”俺が話をして来る”。
と急に言い出したのは又パレだ、今日のパレにゃぁみんなビックリだ。

パレっちゅうなぁ、あだ名で本名じゃあねぇ、あだ名の由来れぇは田舎言葉で
パレちゅうのは泣き虫って意味だ、こいつぁその何年かあと、大事件を起こ
しゃがって、もうフィリピンにゃぁ二度と来れねぇ、っと思う位ぇ酷でぇ目に合わ
されるんだが、その時きゃぁつくづく立派な野朗だと感心したもんだったよ。

 “ボス、悪いけんど金くれやせんか?それと酒を一本”てえから、
 “いくら必要だ”と聞くと5,000ペソ有りゃぁナシを付けられるだろう”ってんだ。
パレは渡した金とシーバースリーガルのボトルを一本持って出ていった。

 「へ〜っ、パレさんは江戸っ子だったんか?。」
「どうしてでぇ?そんな事有る訳きゃぁねぇじゃぁねぇか、抜けた事言ってんじゃあ
ねぇや。」 「だって江戸っ子弁がうめぇや。」
「ヨッタロッ!!てめぇホントに絞め殺すぞ!。」
「冗談だってば、やだなぁ、すぐ目くじら立ててぇ、そ言やぁカッツアンのお神さん
言ってたよいつだか、『家のしと(人)は(他)ほかの人様は冗談を言わない、冗談は
自分の専売特許だとでも思ってんだろうよ、たいしたうまい冗談も言えねぇくせに』、
っとっとっとっ!!言ったなぁ俺じゃぁねぇよ、カッツアンの神さんだよっ。」

 「バッキャァロウ!!、今まで俺ぁ冗談なんか1度も言った(覚)おべぇはねぇっ
アンニャロウてめぇにまでそんな事言ったんか」
「なんでぇカッツアンも言われたんか?。」
「てやんでぇ、まんち(毎日)言われてるよ、シャラクセェ、まぁいいや、次行くぜ、
なんでぇ、どこまで話したか忘れちまったぃ。」
「ほらっ、江戸っ子のパレさんが酒と金もって・・・。」
「わぁったよ、それも冗談なんだろ?もう怒らねぇよ。」

小一時間もして戻って来たパレは“ボス、ターゲットぁヤマスだけらしい、ボスは
まったく安全だ、これから全員でヤマスを家まで送る、あのドタバタの最中に
ドドンはボスにゃあ済まねぇと思ってたって奴の話だ、ボスも今回の事件は何も
無かった事つにしてほしい”
っと言って全員でヤマスを囲むようにして帰ぇってった。

そん次ん日ドドンに会うと“ハローボス!!”だ。
機嫌がよさそうだったのにゃあシンから底からほっとしたよ」
 「その後ションベンヤマスさんはどう成ったんで?」
「当然又干される羽目ん成ったよ、1年も待って1日で元の木阿弥(もくあみ)だ、
それとなぁヨッチャン、ドドンはその後何年かして死んじゃったよ、酒が元で
喧嘩して挙句の果てには出刃で心臓をブスリだとさ。

ホント〜ウに、酒は怖ぇねえヨッチャン!、気い付けねえと取りっ返ぇしがつか
ねえ事つにならぁな、ねぇヨッチャン!」
 「何んかトゲん有る言い方に聞こえんなぁ俺の耳のせいかね〜。
所でヤマスのチョンボ、wグループって何でぇ?、
パレの大事件ったぁその後何が有ったんさカッツアン?

記 2006年8月