江戸の提灯屋
江戸の芸人
問(題)でぇの(答)こてぇはこんページん中に有りやす。
第二話 チョット福島へ
フィリピン江戸っ子談義
あっしが商ってるもなぁ
何でござんしょう?@
<<第一章『おおハマリ』>>
江戸の絵馬売り
江戸時代の遊び人
「面白れぇ事って何でぇ、フィリピンまで追っかけてったとか、カッツアンの神さん
にバレテとんでもねぇ家庭騒動に成ったとか、金を使い過ぎて破産したとか・・・、
隠さねぇで全部吐ぇたらどうでぇ。」
 「なんでぇ、それじゃあまるで脅迫だあな、隠して何んかねぇよ、もちろん色々有
ったがよ、ヨッチャンが一番期待してぇる家庭騒動は残念ながらなかったね。

そうだ、そう言ゃあ昔有ったよなぁヨッチャン、てめぇこそあの時きゃあ家庭崩壊
寸前迄行ったじゃあねぇか、忘れねぇよ俺ぁ。」
「何でぇ、藪突っついて蛇出しちゃったぃ、いいよもうあの事たぁ終わったんだからさ、
それより聞かせろよリミちゃんとのその後をさっ。」

 「その年明け晴れて年期明けのリミちゃんは帰国の日が来た、お決まりの
サヨナラなんとかに出ねぇ訳にゃあいかねぇ、そん時だよ、リミちゃんが思いもよら
ねえ事を言い出しゃがった、 “一緒に行こうフィリピン”俺ぁ何んか聞き間違ぇた
のか、それともリミちゃんが言い間違ぇたのか、いってぇどっちだ?

も一度言ってみな、ってぇと“フィリピンに一緒に行きたい“。”一緒にったって
おめぇ明日、正確にいゃあ、そうだ今日だ、今日帰ぇるんだろうよ”リミちゃんは
当たりめぇのように“そう”。そんな無理言ったて・・・、んんんん・・・チョット待てよ、
俺の頭はフル(回)けぇ転だ、少し酔ってっから自動車迄はいかねぇが、自転車を
死ぬ程漕いだ時っ位れぇは回ぁした、飛行機の切符は有る、フィリピンで買ってきた
オープンチケットだ、あの時きゃぁエコノミーが無くてビジネスクラスを奮発した、

座席はどうだ?、キャンセル待ちか?、今日は幾くんちだ?3日か、いや違う
4日だ、そんじゃぁ望みはねぇ訳じゃぁねぇ、もし駄目だったら諦めよう、仕事は?
ってえと、でぇじょぶだ。
馬鹿だったねぇ俺ぁ、行く気に成ってやがるんだよ。
でも難関が有る、神さんに何んて言い訳をすっかだ。」
「面白く成って来やがってぃこんちくしょう、おう、それからどしたい?。」
「俺が急に一人で出掛けるったって信用何んかするもんか、神さんが。
店のオヤジを呼んだ、何んたってこっつらこの店の最上等客だぁな、すっ飛んで
来たねえ、“後で一緒に俺んちに来てくんな、俺とつるんで神さんに芝居を打つ
んだ、台ぇ本は今考えるからよ”ドヂ踏むんじゃあねぇぞ、いいか!。

オヤジの顔はハトに豆鉄砲だがそんな事ぁかまやぁしねえ、こっちゃあ鼻から
いやとは言わさねえ腹だ、さあ後は台ぇ本だ、こいつがやっかいだ。」
「そりゃあそうだ、“これからフィリピンに行くよ”、何んて急に言い出すやつぁ
気違ぇか馬鹿だ、じゃなかったら畜生だ。
っで、どうしたい神さんを騙す台ぇ本は、いいのが出来たかい?。」

「おめぇ畜生はねぇだろう、でもよく考ぇてみりゃあそうかも知んねぇなぁ。
ああでもねぇこうでもねぇ、なかなかいい手が湧いて来ねぇ、時間もねぇ、もうすぐ閉店だ。そん時だ、閃いたなぁ、良し!この手なら使ぇる、確信って奴を持ったねぇ俺ぁ。」

もんでぇのこてぇは@蜻蛉A薬の調合B寿司C風鈴D版画彫りE蝶でげした。
「ほ〜そうかい、有ったんかい神さんを騙すうめぇ手が?。」

「ヨッチャンよ、そりゃあ確かに騙すのにゃあ違ぇねぇが、
そうはっきし言うもんじゃあねぇぜ、言われる度にズキンズキンと響くじゃねぇか
江戸の傘屋
江戸の船頭
江戸の風情や名物を並べて見ました
あっしが商ってるもなぁ何でござんしょう?B
あっしらがやってるこたぁ何でござんしょう?A
あっしらがやってるこたぁ何でござんしょう?D
あっしが商ってるもなぁ何でござんしょう?C
あっしが商ってるもなぁ何でござんしょう?E
「もういいやどっちでも、だんだん悪く成りゃがる。心配ぇそうで気の進まなそうな
店のオヤジを連れて家へ向かった、こいつさえドヂ踏まなきゃあきっとうまく行く、
自信はあった。

家に着くと神さんは寝てた、当ったりめぇだ、夜中の2時過ぎ迄外で遊んでる
亭主だよ、待っている時きゃぁバットか出刃、さもなきゃ離縁状を必ず持って
いるってのが決まりってもんだ、寝ててくれてよかった。

オヤジを中に入れた、外で待たせておいて逃げれぇたらてぇへんだ、女房を
起す前ぇにパスポートとチケットをポケットに入れる、オヤジに“うまくやれよ、”
っと念を押してっから半地下で寝てぇる神さんを起こすチョッイト寝ぼけている
間に話しちゃうのが手だ、

“おい!起きろ!お客さんだ、これから出掛ける”、
もちろん寝ぼけまなこの女房は“え〜、何よ〜、お客さんって誰、どこ行くの、
今何時よ”間髪をいれず俺ぁ言ったね“友達の田舎だ、誘われたんだ、福島へ
行って来らぁ”女房は“ふうん、いつ帰ってくんの、お客さんに挨拶しなきゃあ駄目
かしら” ”しめた!“っと思ったねその時ゃあ、いいよ起きなくって、3,4っ日位れぇ
だ、じゃあ行って来らぁ。
後は野となれ山となれだ。

”オヤジに行くぞってえと、オヤジはさっき店でしたのと同んなじ顔をしていたよ。」
「へ〜、うめぇ事行ったもんだねぇ〜、感心したよカッツアンの悪知恵にゃあ、
オヤジの田舎が福島だったって事よく知ってたなぁ。」
「オヤジの田舎なんて知らねぇよ、そんなもん興味ねぇや。」
「とんでもねえ野朗だね、おめえさんは。それからどしたい、問題の飛行機の座席
は有ったんかい?」

「その座席取りが又てぇ変な事だったのよ、・・・」

記 1999年5月