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まず最初に、横峯プロの問題のトップをよく見て下さい、クラブヘッドはジョン・デイリー並みに思いっきり下がっています、左腰の回り方も45度以下ですし、右膝もアドレスの位置と殆ど変わっていません、
しかし、トップでクラブヘッドがこれ程下がる原因は何でしょう?、ジョン・デイリーは手首と肩の異常なほどの柔らかさから来るものですが、はたして横峯プロもそうなのでしょうか?
答えは「いいえ」です、それでは何が原因でクラブヘッドがあれ程下がるのでしょうか?今回はまずこれから解明してみましょう。
但し、これから書く事は横峯プロのスウィングの良し悪しを述べているのでは有りません、飽く迄も私の独善的なスウィング解剖です、彼女はトッププロの一人です、プロとは格好ではなく1打幾らの真剣勝負な世界なのです、勝てば官軍そのものです。
と言う前書きをして置いてっと、さて私の分析した所原因は2つ有りました。
まず一つ目に注目して頂きたいのがトップでの左ひじです、かなり曲がっているのが判ります。これはジョン・デイリープロの左肘とは大違いです。この左肘がもし曲がっていなかったらクラブヘッドはどの位の位置に来るかを実験して見たのがもう一つの合成写真です。
写真では横峯プロの二の腕から真っ直ぐに肘から下を伸ばした場合の合成写真です。ご覧の様にこの時のヘッドの位置は水平よりやや下がっている位なのが判ります。(見辛いでしょうがシャフトの角度だけに注目して下さい)。
これで彼女の左肘の曲がりがクラブヘッドを異常に下げる原因の一つなのが解明できました。
次に2つ目の原因は右ひじです。
左の写真は後ろから撮ったスウィングでのトップ(もう切り返しに入った所ですが)を見て下さい。右肩を大きく開き、右肘を体の後ろに目一杯引いています、この辺はジョン・デイリープロと似ていますが、違う点は横峯プロはフライングエルボーには成ってい無い事です。
まずその前に某プロがこの写真の横峯プロのドライバーショットを解説していますのでそれをお読み下さい。
(某プロの解説)
『正面からみた横峯さくらの最新ドライバーショットからは彼女独特の体の使い方とそのタイミングの良さが観察できる。広いスタンスでどっしりとした土台を作った下半身は腰の回転が40度ほどまで回した時点でロックする。肩の回転が最大限に達するトップオブスイングまで腰を固定して上半身と下半身の捻転度をMAXにしそのギャップをうまく生かしている。 切り替えしてからは左の膝と腰を始動ポイントとし遠心力を使うようにクラブヘッドを走らせている。右手のグリップ、体の柔軟度、リズム感などは他のゴルファーには真似できない個性的な動きはあるが打ち急がないテンポや上下左右に動かない頭の位置など基本に忠実な部分は参考になるはずだ。』
我々プロがこれを読みますと、かなり苦しい解説をしていると取れます、先程も述べました通り、横峯プロは唯のプロでは有りません、レディーストーナメントの華です、看板です、宝です。彼女のファンは数え切れないほどいます、しかも実力者そのもの。
難しいんです!!、こう言う人のスウィング解説!!、これ以上は申しませんが、私は関係有りません、しがない一匹狼の名無しのプロです、何でも言えます、言論の自由を旗頭に好き勝手にさせて頂きます。
まずアドレス、横峯プロの手首の弱さを表しています、これだけフック・グリップ(ストロング・グリップとも言う)にしなければクラブフェイスが返って来無いのです、殆どの女子プロはフック・グリップですが、彼女程のグリップは他に見ません(私が知らないだけかも・・・)。
そして問題のトップです。実はこのトップが彼女の手首の弱さを補っている最大の武器なのです。普通のプロの場合、ヘッドスピードを上げる要素として、クラブヘッドを出来るだけ遅らせて来るレイトヒッティングのスウィングから、左サイドの壁に向かって、そこへ思いっきり左腰をぶつけて行きます、壁にぶつかった左腰と同時に左肩も一瞬止まります、これが本当の左サイドの壁です。
大変大事な事なのでもう少し左サイドの壁を説明しましょう、この機会ですから知っている人は「確認の為に」知らなかった人は「しっかり覚えよう」っと思って読んで下さい。
皆さん5円玉を50Cm程の糸に吊るし、目の高さに手を持って来て、右手でぶらぶらさせている所を想像して下さい、そしてぶらぶらさせたまま、急に左の人差し指を糸の中間位の所へ、ぶらぶらを邪魔する様に差し出した所を想像して下さい、勿論想像だけでなく本当に実験して頂いた方が解り易いですが、左の人差し指でぶらぶらを邪魔した瞬間、五円玉の動きはどう変わりますか?ハイ!下記から答えを選んで下さい。
(バカバカしいとお思いの貴方、書いている私も貴方と同じ気もちなのをご理解下さい。)
1、 今度は小さくぶらぶらし出す。
2、 五円玉は勢いをなくし、ぶらぶらを止めてしまう。
3、 五円玉は急に勢いを増し、指にクルクルと巻きつく。
敢て回答は致しませんが、『この時の左の人差し指』がスウィング中の左肩に当たります(左腰がロックされた瞬間、左肩も当然ロックされます)、そして腕が糸、クラブフェイスが五円玉です。
お解り頂けましたでしょうか?、正しい『左サイドの壁』の意味が。
話を横峯プロに戻します。
実は彼女にはこの左サイドの壁が有りません、その証拠に上の分解写真の3番目から4番目の写真に掛けて左膝が伸びた形跡は有りません、左ひざがインパクトで流れてしまっているのです、インパクトの直前で左サイドの壁は完成していなければ成りません、先ほどもご説明した通り、左サイドの壁はインパクト前に完成していなければ意味が有りません、そして左からの物凄い力を受け止めるのは左ひざです、左ひざは左サイドの壁を造る「命」です、この膝がしっかり伸びている事で、体が早く回らないように、外へ流れない様に受け止めているのです。
それでは横峯プロはどのようにして飛距離を出しているのでしょうか?
答えはスウィングアークを大きくしたハンマー投げスウィングです、体全体を使いヘッドの走る距離を長くして加速を付け、インパクトの時に最大のスピードとなる様に振っています、遠心力をフルに利用したまるでハンマー投げのスウィングの様です(写真)。クラブヘッドも出来るだけ遠くから来させる為にあの様なトップの形に成った訳です、スタンスを広く取るのも遠心力に負けて体の軸がぶれない様に必然的にそうならざるを得なかったのです。
さてそれでは彼女の左肘に付いて分析して見ましょう。
左の肘の曲がりはトップだけに見られるものでは有りません、インパクトからフォローを経てフィニッシュまでスウィング全体を通して曲がり続けます、一寸これは変ですネ〜?左肘は伸ばすものと皆さん教わりませんでしたか?どの教科書にもそう書いて有りますし???。
所で皆さんは疑問に思った事有りませんか?、どうして「左肘は真っ直ぐ伸ばさなければいけない」のかっと言う事に・・・、この回答は少し後でするとしまして。
左手所か両腕を曲げたまま打つ関西のドンとまで言われ最多優勝記録を持つ杉原輝雄プロのスウィングを思い出して下さい。
69歳の今でも現役でエイジシューター(net検索推奨)を狙ってトーナメントに出場し続けている超一流プレイヤーです、
彼でさえアマチュアにレッスンする時には、あの肘曲げスウィングを教えてなど勿論いません、杉原プロ曰く
「ワシも、若い頃は肘を返してスイングをしてた、皆と同じ様にな、でもワシが皆と同じ様に肘を返すスイングをすると強いフックボールになってな、肘を曲げたままでスイングを終えるとボールは真っ直ぐ、自分にあったスイングは自分で見つける、自分で見つけたスイングは忘れる事は無いからな」
っだ、そうです。
左肘が曲がったままのスウィングしているプロは他にも見受けられますが、極まれです、以上の事からもやはり左肘は曲げない方が良い事が解ります。
さあ先程の疑問です、なぜ「左肘は真っ直ぐ伸ばさなければいけない」のか?ですが、ゴルフスウィングは常に同じリズム、同じテンポ、同じタイミング、でスウィングする事が重要だと言う事は周知のことです、言い換えましとそれらを狂わす動きを出来る限り排除すれば良い訳ですが、曲がった左肘がインパクトで伸びるタイミングを常に寸分も狂わさず全く同じにする事がはたして出来るでしょうか?血の滲み出る練習を何年も積み重ねれば出来そうですが、やはり難し過ぎるのです。
前出の杉原プロの場合は曲がった左ひじをそのままインパクト、フォローまで保ちます、これなら曲げて伸ばす動きが有りませんから狂いも有りません。そんなに大変な事を考えるより左腕を最初から最後まで伸ばしていれば全く狂いが無い訳ですからそのほうが単純で簡単です。その事から異口同音「左腕を伸ばせ」を唱えるのです。
ここで先程の某プロに再登場して頂き、今度は横峯プロの後ろからのショットを解説して頂きましょう。
どちらが正解と言う事では有りませんが、私が某プロの解説に同感できるのは最初のグレーの部分「トップの位置では・・・から、練習量の豊富さが出ている。」までです。
このスウィングをまねをするのは大変難しく、又個人的にはまねをする程のスウィングでは無いと思います、殆どアマチュアには参考にならないスウィングだとも思います。
某プロの解説の中で、次の箇所の私の意見は違います2番目のグレーの部分「13コマ目で・・・、から、安定しているだろう。」までですが、実はその13コマ目の写真はダウンスウィングの丁度8時の地点の写真です、これは上記の写真の左から2枚目の写真(その時点の正面からの写真が右に有る写真です。)の事を言っています、この写真だけを見ると、私には殆ど素人のスウィングにしか見えません、クラブヘッドは9時の地点に残っていていかにもレイトヒッティングの形には成っているスウィングに見えますが、これは全く違います。
真のレイトヒッティングのヘッドの位置は左肘が伸びている時のヘッドの位置を見ます。
Vijay Singhの8時の地点の写真を見て下さい、これぞレイトヒッティングの見本でしょう。
左肘の緩みは全く見られません、しかもクラブヘッドはまだ頭の位置に有ります。
ここでレイトヒッティングの効果を簡単に説明しましょう。
もう一度Vijay Singhのグリップの位置とクラブヘッドの位置を良く見て下さい、グリップの位置がインパクトの位置に来るまで、約50cmの距離です、時間にして0,01秒位でしょう、この間にクラブヘッドが動く距離に注目です、約2mです。クラブヘッドが横峯プロの位置(腰の高さ)からですと約1mしか動かない事に成ります、同じ時間でクラブヘッドの動く距離が倍違う訳ですからもうお解りと思いますが、単純に見ますとヘッドスピードは半分になってしまいます。
ですからクラブヘッドの位置が遅れて来れば来る程ヘッドスピードは上がる訳です、これがレイトヒッティングの効果ですが、これを完成させる為にはかなり強靭な手首を持たないと出来る事では有りません。
ここでもう一度横峯プロの左から2番目の写真に戻りましょう、この8時の腕の地点で左肘がもし真っ直ぐ伸びていたらクラブヘッドの位置は今の位置からかなり下がったポジションに成ります、これは横峯プロの手首の弱さから、(又は手首を使わない方法から)レイトヒッティング重視のスウィングが出来ない(又はしていない)事の表れです。その為彼女は「遠心力をフルに利用したスウィング」にせざるを得ないと私は見ました。
某プロの解説の中で横峯プロはオーバースウィングっと解説しておりますが、最初に申しましたとおりこの点も私の意見とは違います。
如何でしたか?プロの「目」から見たスウィングも見るプロが変わるとこうも変わるものです、誰の「目」を信じるかは勿論読者の自由選択ですが、なぜ?どうして?の疑問が残る解説では欲求不満に成ってしまいます、私はそういう解説はしないよう心がけております。