目から鱗のライ角調整 |
クラブセッティングで得に難しいのはライ角のセッティングです。 ロフト角を調整する場合はボールの高低を調整するためですが、 ライ角の調整に失敗しますとボールが暴れだします。 失敗しないためのライ角調整法をお教えしましょう。 まず最初にアドレス時の正しいクラブポジションを知る事が先決です、 ライ角に合わせたセットアップ(アドレスでのクラブポジション又は ポスチャー)ではなく、自分のセットアップに合わせたライ角を 決めるのですから。 それでは何が正しいセットアップなのでしょうか?実はこれが難しい のです。 アドレス時に正しいセットアップが出来たとしても、インパクト時に 正しいポジションにクラブフェイスが来なければ何もなりません。 |
それでは一掃の事セットアップ時は兎も角、インパクト時の状態に ライ角をセッティングしたらどうでしょう? まずライ角はシャフトとの総合バランスと覚えましょう、決して アドレス時のライ角だけで決められるものでは有りません、シャフトは スウィングトップの時点からダウンスウィングに入る時にしなります、 これがとても大事なポイントです。 トップまで引き上げられたクラブヘッドは、その重さと共にダウン への切り返しポイントで手の動きと誤差が生じます、これがシャフトの 「たわみ」を生み出します、いわゆる「ため」です。 この時のシャフトのたわむ方向、言い換えれば湾曲が出来る方向を 想像して見て下さい、クラブヘッドのトウ側(ヘッドの先の部分)が 下がった形となります、これを覚えておいて下さい。 さて、そのままインパクト直前までその「たわみ」を保ち、インパクト で一気に「たわみ」を解きます、そうするとどういう現象になるかと 言いますと、シャフトの「たわみ」は逆方向に働きます、先ほどトップ で出来た湾曲の方向と逆の方向に湾曲が跳ね戻るのです。 これを「トゥ・ダウン現象」と言います(ミケルソン選手の後方 インパクト写真参考)。 スウィングしている人の顔の方へ向かってシャフトがしなるわけです。 |
その時のシャフトのキックポイント(シャフトのたわんだ頂点)の場所 によりライ角が変化します、キックポイントがグリップ側にあれば ライ角はフラットに、クラブヘッド側にあればライ角は強調されます。 又、柔らかいシャフトの方、スウィングスピードの速い方が「トゥ・ ダウン現象」は強く現れます。 高速度カメラで自分自身のインパクトの瞬間を写し、それに合わせて ライ角をセッティングする。 実際にそのサービスをしている所が有るかどうかは分かりませんが、 これも一つの手の様な感がしますが、実はそんなに単純ではないのです まずスウィングそのものがその人に取って、正しいスウィングかどうか が肝心です。 現在のスウィングが完璧(そんな事は有り得ませんが)ならば、それに 合わせたライ角のセッティングをする事は理にかなっていると言えま すが、もしこれからスウィングを矯正しよう、又している人が、今の スウィングに合わせたライ角セッティングをしたならば・・・、 もうどうなるかはお分かりでしょう。 |
ライ角のセッティングはとても重要です、その人に取って理想の スウィングを造っていく上で、もしライ角を間違ったセッティングした 場合、スウィングが良くなっても理想通りのボールは出てくれません。 ライ角とはシャフトの性質と本人のスウィングスピード、それと本人の スウィングによって決められるものだと言う事がお解かり頂けましたで しょうか? ライ角調整そのものは別に難しいものでは有りませんが、安易な気持ち で調整をしてしまうと、とんでもない事になりますゾ〜。 |
以上を良く踏まえた上で、それでは失敗しないライ角の調整法の ご説明をしましょう。 自分のセットアップが正しいかどうかをチェックします、 鏡を見ながら次の点を注意してください。 アドレス時の基本体重位置は左右50%ずつ、前後のバランスは 足の指の付け根に体重を置く、指には直接体重が掛からないと 覚えてください。 指に体重が掛かった前体重も、かかと体重も間違いですが、 特に多くの人に見られるのは前体重です、これですと、正しい スウィングをした場合のインパクト時は前体重では有りません のでクラブヘッドが自分の思っているゾーンにはまらず、手前に ずれてしまいます、結果としてクラブフェイスのトウ側 (クラブフェイスの前の部分)でインパクトする事になります。 逆に後ろ体重でセットした場合はクラブフェイスのヒール部分で ヒットする事に成ります、シャンクに成る事も有るでしょう。 もし前体重や、後ろ体重でアドレスして、クラブフェイスの真芯 でボールを捕らえる事が出来たら、それはどこか間違った スウィングをしている事にも成りますが・・・。 実験して見てください、前体重でアドレスしてみます、体と グリップの間隔を変えないように注意して体重を踵に移して 見てください、クラブヘッドの位置が大きく変わるはずです。 次に先ず写真を見て下さい、ご存知フィル ミケルソン選手の ドライバーショットを後方から撮った写真です。 左がセットアップ、右がインパクトの瞬間です、一目瞭然とは 正にこの事ですね、 頭は殆ど動いてい無いのに、グリップの位置はアドレスの位置と 大きく違うのが分かります。 |
後方からのセットアップ写真で腕とシャフトには角度がついて います、この形をハンドダウンと言います、しかしインパクトの 瞬間この角度は無くなり、腕とシャフトは一直線になっています。 ここで問題です、 さて、このハンドダウンで出来た角度はいったい何処へ 行ったのでしょうか? この現象はミケルソン選手だけに起こる訳では有りません、 殆ど全ての正しいスウィングをしているゴルファーに起きる 現象で、反対にこの現象が起きないスウィングをしたとしたら、 問題が有るのはこの現象が起きない方のスウィングです。 ここでもう一つライ角の問題が有ります、アドレス時のドライバー のトウ部分が上がっているのに注目して下さい、インパクト時は どうですか?トウの上がりは消えてソール面が地面と平行に 成っています。この現象はどうして起こるのでしょうか? 回答は次の写真に有ります。 同じくミケルソン選手のドライバーショットを正面から撮った 写真で左がセットアップ、右がインパクト瞬間の写真です |
この写真でも頭は殆ど動いていませんが、グリップはセットアップ時より大きくずれています、 実は先ほどのハンドダウンの余裕がこのグリップの位置ずれに変わったのです、言い換えれば このずれが有る為にセットアップでハンドダウンに構え余裕を作っておくのです。 ヘッドのトウ部分の上がりが無くなるのは、これに加えてトウダウン現象が加わるからです。 此処でお話したかった事はセットアップ時にはその人に合ったスウィングのハンドダウンが必要である、 っと言う事です。 さあ!、そしていよいよライ角のチェックです、自分に合ったスウィングのセットアップが出来たら、 クラブヘッドのトウ側が少し上がって、地面との間に隙間が出来ているはずです、一般的には コイン2枚分等と言われていますが、測り方によって差が出てしまいます。 下の写真で正しい測り方はどれでしょうか? |
ライ角がフラット過ぎるとボールが捕まり辛くなり右にふけ易くなります、逆にライ角を付け過ぎると 引っ掛かり易くなります。 今お使いのアイアンが一度もライ角のチェックをしていないのなら是非してみて下さい、 きっとライ角はばらばらに成っているはずです、現在ゴルフクラブは大量生産で作られていますから、 メイカー出荷時にチェックなど殆どしていません、ライ角だけでは無く、ロフト角、スウィングバランス、 総重量、等もばらばらです、だからと言って悪いクラブと言うわけでは有りません、クラブの微調整は 買った本人が自分に合わせてするものと考えておいて下さい。 さて回答ですが、これはお解かりと思いますが右側の測り方です、ヘッド形状によりますが 大体コインがクラブヘッドに隠れる位と覚えて置いて下さい。 もう一つ、現在のスウィングに合わせる方法が有ります、クラブとマット(土でも)の摺れた後を見ます、 スウィートスポットの真下に後が着けばOK、トウ側に付けば角度不足、ヒール側ならアップライト過ぎる ライ角です。全ての番手でテストして見ますと、中にはドンピシャなものが有るかも知れません、 もし有ったならばそれを基準にライ角調整をすると良いでしょう。 最後にライ角調整はクラブ チューニングの中で一番大事と覚えて下さい、チューニングそのものは 極簡単な作業です、普通のゴルフショップなら殆ど受けてくれるでしょうし、指定通りに仕上げて くれます。そして多くの場合再調整は無料の所が殆どのはずです、兎にも角にも一度チューニングして 綺麗に番手ごとにライ角を整理して見ては如何でしょうか? もしかすると本当に目から鱗かも知れません、ライ角が1度変わると玉の捕まりが違ってくる事も まれでは有りません。但し、逆効果の場合も「無きにしも非ず。」をお忘れなき様、でもご安心下さい。 その時は信頼の置けるプロにスウィングをチェックしてもらいましょう、 そしてその後もう一度ライ角の調整をすれば良いのです。 記 2007年5月 |