Villamor(ビリアモル)G・C 
                       5番ホール、405Y パー4



5番ホール、405Y パー4(実際には表示より20Y下がったティーを使うため、425Yとなる)
このホールを苦手としているプロは意外と多い、急激な右ドッグレッグのこのホールのフェアーウェイ右端に沿ってOB杭が並んでいる、左にOBは無いが、ティーグラウンドから200Y先で鋭角に右ドッグレッグが始まっているため軽いスライス位では林に飛び込んでいってしまう、ここに入るとフェアーウェイに出すだけ、
サードショットもかなりの距離を打たなければ成らず、良くてボギー、右に背が高い木が数本ある、この木がなければ何て事の無いホールに成ってしまうほど重要な役目をしている、ティーショットの選択肢は2つ、
ティーグラウンドの左端イッパイにボールをセットしてショートカットに打って行く、OBゾーンの上を高いストレートボールでグリーン方向へダイレクトに狙っていく方法、これだと残りが100〜130Yとなり、この難関ホールが一変でバーディーチャンスのホールとなる、
しかし条件が厳しい、高い正確なストレートボールが要求される、左右15Y外れると林の中でノーチャンス、長いOBゾーンの上を超えて行く、スライスはOB必至である、

フックは早く掛かれば右の木に引っかかりボールはOBゾーンに消える、大きいフックは左のうっそうとした茂みに入りロスとボールになる可能性も出て来る、そして距離、最低250Yのキャリー、しかも高い弾道でなければ最初の木をクリヤーしても落ち際の木に当たりOBゾーンへ消える、
しかし飛ばせば良いのではない、300Y〜3.10Y当たりのフェアーウェイを幅7m位でクリークが横断している、下が固い時には30Y以上のランが出る、280Y以上飛ばすと、どんなに良いボールを打ってもクリークに入ってしまう危険性が有る。
条件は高いストレートボールで250Y〜280Yのキャリーのボールを打つ力と技術が有ればこれがベストセレクション。ストレートボールが右の高い木より左に出ると必ず林に入る、林に入るとグリーンは殆ど狙えない、もし入ってしまったら、フェアーウェイに安全に戻す事だけ考えた方が、結果は良い、この林へ入れたら諦める事が肝心。
もう一つの選択肢は大きなスライスを使って、安全にフェアウェイセンターをキープする方法、ティーグラウンド・センターにボールをセットする、遠くに見えるビルの左端が打ち出しターゲット、これより右に打ち出すして、スライスが早く掛かり過ぎると右端の高い木に当たる可能性が出て来る、
又、OBゾーンがフェアーウェイに沿って引かれているため危険である、必ず打ち出し方向には細心の注意が必要、もしスライスが掛かり損なうか足りないと、左の林、ここに入ったらフェアーウェイに戻すと決めておいた方が良い、又左の林ギリギリフェアーウェイにボールが残っても、前の木がスタオミーに成るのと、距離が200Y近く残る事が多い、その場合も無理はしないで大叩きし無い様に注意する。
プロがこのホールを嫌う理由はティーショットに危険がイッパイ含まれていて点で攻めなければならない事で、一寸ミスするとダブルボギーも簡単に出てしまう所に有る、兎に角神経を使うティーショットである。
昔トーナメントで有った話、この5番ホールで小さなドラマが有った、殆どの人は覚えていないかも知れないがその時一人のプレイヤーに起きた出来事は彼の心の中には何時までも残るだろう。
フィリピンではメジャートーナメントの『フィリピン・マスターズ』毎年Villamorで行われていたが、7〜8年前から中止している、スポンサーが付かないのである、当時のスポンサーは酒メーカーやタバコメーカーが主流だった、スポーツにタバコは似つかわしく無いっとタバコメーカーを当時のPGAの会長が切ってしまった、


それからスポンサー探しをしたがとうとう他のスポンサーが付かなかった為それ以降は中止されてしまっている。この話はその最後に行われたトーナメントかその1つ前のトーナメントの出来事である、
彼の名前はH、当時フィリピンでも有数の飛ばし屋だったが、トーナメントでは余り上位に来る事はなかった、しかし予選は何とか半分の確立でクリアーしている様な余り目立ったプレイヤーでは無かった、今回は馬鹿に調子が良い、初日3アンダーとトップ対、2日目も1アンダーを出し、トップと3打差の5位対に付けている。
そして3日目、決勝ラウンドに入るとピン・プレイスメントがガラっと変わる、殆どのホールで最高に難しい所にピンが切られる、フランキー・ミノザも出場していたが、彼はたしか振るわなかった。
多分Hにしてみれば初めての体験であろう、ましてメジャートーナメントである、かなりの緊張感の中、最終1組前からのスタートは大ギャラリーに見守られてスターティングホールのティーショットを打った、
綺麗なドローボールで、フェアーウェイ・センタやや右に落下したボールはーグリーン手前5Yまで飛ばし大拍手を受けた。彼はその日も頑張って皆がスコアーを伸ばせない中1オーバーと彼にとっては最高の見事なプレイで18ホールを回ってきた、
順位は下げたがまだトップ10に頑張っているトップとの差は4ストローク。確かテレビのインタヴュー受けていた記憶が有る、彼の心境は計り知れないものが有る、嬉しいのは当然だが、ゴルフは4日間トータルで順位が決まる、だめな時は諦めが早く、80も平気で叩いてしまう、そんなHが3日間を今まで経験もした事も無いプレッシャーの中で堂々のトップ10内に居る、
明日もし爆発すれば全く優勝に届かない差ではない、こんな位置でしかもメジャートーナメントで3日間とは言え満足以上の結果を残せた事も初体験ならば、優勝を狙える位置に居る事など夢のような出来事なのである、今日は眠れないかも知れない。
そしていよいよ最終日、Hは最終組2つ前でのスタート、1番ホールにはギャラリーが溢れ返っていた、彼にはこんな経験も初めてで有った、いつもならトップグループの2時間も前のスタート、、ギャラリーなど殆どいない朝早いスタートである、後は仲間のプロと小さいベットで楽しむのが常であった、
その彼が今日はまるでスターである、弥が上にも緊張は高まる、多分心臓はバクバクだった出あろう、私も後で来る5番ホールのドラマが無ければ彼の存在すら知らないままに成って居ただろうと思う、その後の彼とは会っていない。

前の組がホールアウトするのを待っている間、彼は何を思っていたのだろう、それとも何も考えていなかったのかも知れない、前の組がホールアウトを完了したのを待っていたスピーカーから、オナーである彼の名前が呼ばれる、
緊張も最高に達した時、彼のティーショットは昨日よりもっと素晴らしい弾道でグリーン一直線、ギャラリー皆の期待はワンオンである、351Yの距離をややフォロー気味の風に乗った綺麗なドローボールは皆の期待に答えるかの如くグリーン目掛けて飛んで行く、
ウォーっと言う感嘆の声が大きく聞こえた数秒後、グリーン手前15〜20Yに落ちたボールはチョット右にキックしながらグリーンを捉えた、もう一度大きな歓声が湧く、しかし勢いが止まらないボールはギャラリー全員の期待に反して右バンカーに転げ落ちてしまった、ガッカリした声と同時に大きな拍手の渦が広がった。
しかし彼はここで見事なバンカーショットを見せあわやイーグルのバーディースタートである、トータル4アンダーパーとした彼は得意な2番ホールで又バーディーを奪う、この辺で『もしかしたら』の考えが彼の心の中に芽生えても不思議ではない、経験のない彼にとっては至極当然の事である、

しかし次の3番ホールは彼も苦手としていた、ティーグラウンド右前の木が得意のドローを打たせてくれない、2アイアンで低いパンチショットのストレートボールでティーショットを乗り切った、グリーンの最後部に切られたピンまで170Yを8アイアンで5m下に付けたセカンドショットも素晴らしかった、苦手な3番ホールを簡単にパーで切り抜けた。
4番ホールは彼にとっては難しいホールではない、5アイアンでグリーンセンターを狙えばボギーは絶対無い、ピンの位置に寄ればバーディも狙える。その日のピンは右奥に切られていた、ここはダイレクトに狙える所では無い、バンカー越えに狙った5アイアンのショットがピン真っ直ぐに向って行く、落ち際で少し左に傾き、それでも3.5m下に付けた、
最高のポジションである、ここでもう1つ沈めて6アンダーパーにすれば届くかもしれな。
軽い上りのスライス、しかし彼はスライスラインが苦手のようである、3番でも5mの同じようなラインを打ち難そうにしていた、慎重に時間を掛けたパットはカップ右ギリギリ届いた、6アンダーパー、スタートの時より4ホールで3つも縮めた、驚異的な追い上げである、次の5番ホールでドラマが待っているなどその時は誰も知るはずも無い。
ティーグラウンドに行く途中ギャラリーの1人が『後ろはスコアーが延びてないぞ、後2つだ!』っと彼に伝えた、後2ストロークでトップ対に並ぶ、彼は勿論そう思ったに違いない、経験が浅い彼にはまだ試合が始まったばかりなのを忘れている、いや忘れさせるほど今日の彼は何かに取り付かれた様なプレイぶりである。
5番のティーグラウンドに立つ、過去3日間は全て3ウッドで軽いドローを掛けてショートカットを狙い2つのバーディーを取った、彼にとっては得意なホールである、彼の3ウッドが距離ぴったりで、殆どプレッシャーも感じなく素直に打てる。
勿論今日もそうするつもりで3ウッドを持っている、しかし今日はフォアキャディーがなかなかOKのサインを出さない、前でトラブルが有った様である、オナーの彼はすこしいらいらしながらフォアキャディーの合図を待った、
もしかしたらこれが運命なのかも知れない、その間、嫌でも考えてしまう、フックが掛かり過ぎたら危ない、安全に2アイアンでフェアーウェイキープで行くか?
彼はキャディーバッグに近付いて2アイアンに手を掛けフェアーウェイの方を見ている、イメージを出そうとしているのだろう、そして手を掛けていた2アイアンから離れ、やっぱり3ウッドでショットする事にした。
その時フォアキャディーの手にしたフラッグが振られた。
ドラマが始まった、慎重に方向を定め素振りを何回か繰り返している、完全に迷いが現れている、彼のルーティングから外れてしまっている、その事も気付いていないらしい。
3ウッドのティーショットのフックは大きくなり過ぎ、しかも早く曲がりが始まった、例の高い木にまともに当たボールはOBゾーンへと消えた。クラブを叩き付けようとする動作が一瞬見えたが、何とか思いとどまった、後の2人が打ち終わった後、暫定球の宣言をして打ったボールは、今度はフックが全く掛からず大きく右にそれてこれもOBゾーンへ消えた、
その後彼は4回ティーグラウンドからボールを打ち、やっと次のショットへ向う事が出来た、スコアーは14その後のプレイは彼が殆ど最下位に近い所でフィニッシュした事で想像が付く。
私の場合はよっぽどの事が無い限りショートカットなど狙わない、ここは真左からの風が吹いている場合が多い、チョット間違うとOBに成る、大きいスライスならば距離は出ないが難しくはない、セカンドの距離は残るが180Yを超えたら200Yも220Yも同じ、グリーンを捉える確立は50%に落ちる、このホールはアプローチ勝負と決めた。
その当時は写真に有るビルはなく、遠くに給水塔のような物が見えるだけだった、今はその給水塔もビルに隠れて見えなくなった。その給水塔の左からスライスを掛けてフェアーウェイのセンターに運んだ、Wも同じくスライスで攻めた、Mはドライバーでショットカットに打って行く、彼のスウィングはフィリピンでも有名なほど美しい、誰に教わったのか知らないが、なかなかこれ程のスウィングが出来るプロはフィリピンでは見掛けない、ところが彼は試合で勝てない。
フェアーウェイど真ん中ピンまで120Y絶好のポジションである、Jは3ウッド、話に有ったHと同じ彼の場合は3ウッドの距離がこのホールにピッタリ合う、しかし彼の打った今日のボールには、少しきついフックが掛かりあわや水没っと言う所で、かろうじて助かった、距離は100Yを残すだけ、危ないショットである。
セカンドショットは嫌に成る程距離が有る、215Yの距離は2ウッドでイッパイイッパイデ有る、フックでは風と喧嘩して距離も落ちる、これでは良くてもグリーン手前からのアプローチになるだろうと思って打った2ウッドに上手くランが出てグリーンを駆け上がった!!、センターやや手前に切ってあるピンを通り過ぎる事7〜8mにボールは止まった。
グリーンはやや受けている、芝目は3番4番と同じく左上から右下に向いている、左前のガードバンカーは大きいくあごが高い、あごの高いバンカーはピンに距離を合わせずらい、右のガードバンカーはグリーンの横に有る、その為他のグリーンより花道は広く感じる、バンカーのあごはそんなに高くない、ただ入り所によって右から覆い被さって来ている木の枝が邪魔になる。
右サイド、左サイド、奥、っと全てOBで有るが塀で囲まれている、塀にくっ付いてしまわない限り心配は無い。
Wは残り180Yを6アイアンで乗せて来た、Mはグリーンに乗っただけのピンまで上りの5m、今度はJが良いショットを打った、SWで打ったのだろう、左のバンカーの上から高いボールでピンデッドに狙いピン上3m程に落ちたボールは2バウンド目から強烈なスピンで戻り、ピン下1mに止まった。
バーディーはJだけで後は皆外した。ここで初めて私はオナーの権利を失った、6番に行く途中の茶店で水を補給した、茶店と言っても今のコンクリートで出来たのとは違い、当時は木造の古い建物だった。