彼は元々陸上の長距離選手、筋肉質の身体で着やせするタイプ、当事ビックリしたのは彼の素晴らしい足の筋肉、フクロハギの発達は異常なほどで彼自身の発達した足の筋肉というよりもどこからか持ってきた筋肉を足にくっ付けた様な感じで彼の体系には全く不釣合いの足だった。 ゴルフもたちまち上手くなり、トーナメントで上位に入る事が度々有った、ある日本人が彼を引き立てようとスポンサーとなり日本へ連れて行ったが、日本ではツアープロのライセンスはとうとう手に入れる事が出来なかった。 そんな経歴を持つ彼も48歳になった今はトーナメントに出る気力も無くなるほど体力が衰えてしまった。 48歳と言えばまだまだそんなに体力が弱る年ではないが、永い間の不摂生がたたり、168Cmの彼の体重は50Kgにまで落ちてしまっている。 原因は肝臓障害である、周りの言う事は酒の飲み過ぎだそうだ、毎日Villiamorには来るが、練習をするでもなく、ティーチングするでもなく殆ど何の目的も無くただぶらぶらしているだけ、みかね俺が店を手伝 それから半年、最近は体調も思わしくなく、仕事にも余り集中出来ない様である、週に2日ほどは休んでいる。 そんな彼が今日一寸した問題を起こした、っと言ってもウィリーを攻める事は出来ないが。 シャフト交換の依頼があり、その作業をウィリーにさせた、シャフト交換はゴルフクラブのリペアーの中ではポピュラーな作業。 工程はまず@クラブとシャフトの結合部分に『スペーサー』と言う部品をセットするためソケットを取り外すか、ずらさなければならない、ヒートガンで加熱するため、プラスチック製のソケットはまず使用不能になる、A加熱したソケットをずらす、B次にシャフトを抜く工具に『スペーサー』を差し込み、クラブをセットする、ヒートガンで熱を加えながら結合部分の接着剤を溶かす、C接着剤が溶けたところで固定したシャフトからヘッドを引き抜く。 シャフトを抜いた後のヘッドから接着剤を全て取り除いて、新しいシャフトを装着する、その時ソケットも新しいものに交換するが、これが問題となった。普通の人はシャフト交換の時にソケットが使用不能に成る事を知らない、その為事前にその説明が必要である、クラブについているソケットは千差万別、大きさも穴のサイズも、まちまちである。同じものはそのクラブを作ったメーカーにしかないと思えば間違いない。 フィリピンではまず無理である、もしソケットに拘るのであれば自分で日本から取り寄せてからシャフト交換に出さなければ成らない。 シャフト交換に来た依頼客にもその点は最初に了解を貰ってから作業に掛かる。 しかし今度の依頼客はシャフト交換し終わったクラブを見て、ソケットの件でクレームを言ってきた、十分説明したのだが気に入らないと言う、私は困った何が気に入らないのか直接合って聞いてみると、『ソケットの太さが、クラブの太さよりも少し太いのが気に入らない』との事。 勿論事前説明は十分にしてある、クラブの性能に影響が有ろうはずも無く、良く注意して見なければ、と言うより触って確かめなければ解らないほどの差であるが、どうしても気に入らないと言う、『別のソケットは無いので交換は無理だ、後はヤスリで削って取るしかない』、っと俺が言うと、『ヤスリで削ってくれ』っと言う。 綺麗には出来ない事を承知してもらって全て終わらせたが、この作業思ったより厄介だ、ソケットの太さとクラブの太さを合わせるには丁寧にやってもクラブのネックにヤスリが触る、ほんの少し傷がついてしまう、これは仕方のない事である、もともとの差は紙1枚か2枚の差であるから、ヘッドにテープを巻いてカバーしたのでは段差が消えない。 出来上がったクラブを見た依頼者は気に入らないと言い出した、これでは使う気に成らないとも言う、仕方が無いので新しいクラブを日本から取り寄せる事とした、良く見なければ分からないような傷でも本人にとっては大変な傷、これも勿論クラブの性能に影響が有るとかの問題ではなく、兎に角本人がイヤなのだからどうする事も出来ない。 クラブに傷が付いたのだから、クラブを交換するしか方法がない、日本から取り寄せるのに最低2週間は掛かる、依頼者に説明すると、『そこまでしなくても良い』っと言う、それならばこの状態で納得するのかと思えばそれは出来ないと言う、彼が何を言っているのか良く分からない、魔法使いじゃあるまいし、傷を(っと言っても本当に言われなければ分からないような傷だが)消す事など出来ない、交換するしか方法など無いのである。 出来上がった気に入らないクラブを取りあえず日本から来るまで使ってもらう事を納得して貰うのに又一苦労、何とか引き取ってもらった。 シャフト交換は日常茶飯事のごとくやっているがこれほどの事でクレームになったのは初めて、しかもクラブ本体の交換までしなきゃならないケースが出てこようとは思いもよらないことである。 |